VR動画とは。再生方法や作り方、おすすめのVR動画を紹介

近年、VR動画は目覚ましい進化を遂げています。1990年代、3Dゲーム機の登場によって第一次VRブームが到来し、2016年には一般消費者向けのVRデバイスがリリースされ、「VR元年」と呼ばれました。さらに技術革新と普及は続き、デバイスの低価格化が加速しています。活用範囲も、エンターテインメントや広告、医療、観光、教育などあらゆる分野へ広がりを見せています。ますます身近になるVR動画の世界をご紹介しましょう。

 

目次

  1. VR動画とは
    1. 360度動画との違い
    2. VR動画はゴーグルなしでも見られる
  2. VR動画の再生に必要なもの
    1. 再生可能なアプリ
    2. VRゴーグル
    3. Wi-Fi環境
  3. VR動画の作り方
    1. 企画
    2. 撮影
    3. 編集
    4. 公開
  4. VR動画の事例5選
    1. OKINAWA 360° -VR SEA TOUR-(沖縄)
    2. ギネスに挑戦!仰天!「スチールドラゴン2000」
    3. 感覚過敏の疑似体験」VR映像
    4. 【360度動画】ティンカーベル 201|VR内見|
    5. 360度動画でVR体験!水没車両からの脱出【疑似体験版】
  5. VR動画を制作するならNo.0へ
  6. VR動画で疑似体験も。さまざまなシーンで活用できる 

VR動画とは

VR動画の「VR」とは、「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。テクノロジーを駆使した臨場感あふれる立体映像によって、視聴者を仮想空間へひきこむ動画のことを「VR動画」と呼びます。自宅にいながら宇宙を遊泳したり深海にダイブしたり、どんな場所へも自由に出かけ、リアリティ満点の疑似体験を楽しめるイマーシブコンテンツです。

360度動画との違い

VR動画と共通項のあるコンテンツとして360度動画が挙げられますが、大きな違いが2つあります。

まず、目線が移動できるか否かという点。360度動画は、視点を上下左右にスクロールして頭上や背面を見渡すことができますが、目線は固定されています。しゃがんでも、目線は変わりません。一方、VR動画は視点を動かせるだけでなく、目線も思い通りに動かせます。ユーザーの動きに連動して目線が移動するため、仮想世界を自由に周遊している気分を味わえます。

2つ目の違いは、ゴーグルの有無。360度動画の視聴にはゴーグルを装着しませんが、VR動画の視聴は基本的にゴーグルの装着が必要です。VR動画はゴーグル装着によって現実世界をシャットアウトし、仮想世界へ没入できる点が魅力のひとつです。

VR動画はゴーグルなしでも見られる

ゴーグルなしでVR動画を再生する画期的な技術も誕生しています。半球状のディスプレイに投影することでバーチャルな視覚体験をもたらす「WV Sphere5.2」や、ホログラムでVRを映し出す「HOLOMR」、世界初の360度VRプロジェクター「MK PLAYER360」がその代表例です。

このような技術革新によって、複数人で同時に仮想世界に入り、コミュニケーションを取りながらVR体験を進行できるようになりました。仮想イベントや仮想オフィス、仮想授業などさまざまなVR空間が設定可能です。

VR動画の再生に必要なもの

VR動画を再生するためには、事前準備が必要です。機材や環境を整えて、快適な視聴を楽しみましょう。

再生可能なアプリ

VR動画を再生するには、下記のような専用アプリが必要です。

 

YouTube
ブラウザでは360度映像を視聴できないため、YouTubeアプリのインストールが必要です。「VR」を含むワードで検索すれば、あらゆるジャンルのVR動画が出 てきます。ゴーグル装着の場合、再生画面の右下にあるゴーグルマークをクリックすれば、VRモードに切り替え可能。会員登録不要かつ無料で視聴可能ですが、中には有料コンテンツもあります。

VR Square
ソフトバンクが提供するVR動画配信サービスです。アプリをダウンロードすればソフトバンク以外のスマートフォンでも視聴が可能。無料コーナーのほか、月額登録が必要な有料コンテンツも用意されています。

Google Spotlight Stories
Googleが制作したVR動画プラットフォームです。オリジナルアニメや短編映画がアップロードされており、アカデミー賞など世界的な賞に輝いたクリエイターの作品も少なくありません。ユーザーの目の動きに応じてインタラクティブにストーリーが展開されるため、映画の世界に迷い込んだかのような錯覚を味わえます。インストール、視聴とも無料で、YouTubeで視聴できるコンテンツもあります。

VRゴーグル

VR用のゴーグルは、段ボール製や折りたたみ式の安価なタイプから、ハイスペックなタイプまでラインナップが充実しています。スマートフォンやタブレット、パソコンなど、視聴するデバイスに適した製品を選びましょう

外部機器を必要としないスタンドアローンタイプや、VR酔いを軽減できるピント調節機能付きのタイプなど、機能は多彩。軽量ながら5K解像度を実現した一体型ゴーグルも登場するなど、業界は盛り上がりを見せています。

Wi-Fi環境

VR動画の視聴には莫大な通信量が必要となるため、スマートフォン回線やポケットWi-Fi、ホームルータを利用すると通信量がオーバーする可能性があります。ストレスなくVR動画を視聴するには、固定回線のWi-Fi利用をおすすめします。

VR動画の作り方

VR動画は機材さえあれば内製が可能です。以下のポイントを参考に挑戦してみてはいかがでしょうか。

企画

動画プラットフォームでユーザーの支持を得る作品を制作するには、「意図」を明確にする必要があります。たとえば、撮影場所が同じでも「スリルを味わってほしい」のか「幻想的な世界を体験してほしい」のか「視聴者に問題を提起したい」のかによって撮影方法は異なります。漠然と撮影したコンテンツは、ユーザーの共感を得にくくなります。撮影前に、撮影意図とターゲットを明確にしましょう。

撮影

ユーザーが違和感なく仮想世界に没入できるよう、カメラマンや撮影機材の写り込みを避けながら撮影を行います。音声収集機材を準備して、撮影と同時に音声を収録すると、聴覚的な臨場感を演出できるでしょう。

ロケーション空間は、カメラの上下左右に被写体がある状況が理想的です。モーションが激しい動画はユーザーにストレスを与えかねないので、カメラを固定して動きのある被写体を撮影するか、スローなカメラ移動を心がけましょう。

 

VR動画の撮影に必要なカメラ
VR動画の撮影には、専用のVRカメラが必要です。VRカメラは、360度撮影可能なことから、全方位カメラや360度カメラとも呼ばれます。VRカメラには大別して、全天球カメラと半球カメラの2種類があり、半球カメラの場合は2機のカメラで撮影した動画をつなぎあわせて360度映像を完成させます。
製品ごとに、防水機能やライブストリーミング機能、手ブレ補正機能など、さまざまな機能が搭載されています。スマートフォンのレンズに取り付けるだけでVR動画が撮影できる製品も発売されており、VR動画撮影はコスト的にも技術的にもハードルが低くなっています。

編集

撮影した動画をアプリやソフトで読み込んでプロジェクトを作成し、VR視聴モードでトリミングを行います。文字やエフェクトの追加も、通常の動画編集と変わりません。明度の調整やブレを補正する作業、音声と合わせる作業も、クオリティ向上につながります。VR動画として出力すれば完成です。

VR動画の編集におすすめのアプリ・ソフト

VR動画の制作場面で活用されているアプリとソフトをいくつかご紹介します。

 

PowerDirector
国内販売シェアトップクラスの動画編集ソフト。WindowsとmacOSの双方に対応し、簡単操作で高解像度動画を作成できます。トリミングや音声編集、文字入れなどの基本操作はもちろん、アニメーションPiPやオブジェクトなど高度な編集が可能。手ブレ補正機能もついています。完成したコンテンツはYouTubeやInstagramでシェア可能です。

Final Cut Pro X
フル解像度の8K動画を編集できるアプリとして、ハリウッドの映画エディターからYouTuberにまで幅広く愛用されています。モーショングラフィックスやカラーグレーディング、各種エフェクトを駆使して、臨場感あるVR動画コンテンツを制作できるほか、不要なオブジェクトの除去も可能。VRヘッドセットを接続すれば、リアルタイムでVR映像を確認しながら編集作業を進められます。YouTubeやFacebookへ直接アップロードすることも可能です。

THETA 360.biz
360度カメラ「RICOH THETA」で撮影した動画の編集に特化したクラウドサービスです。WEBブラウザ上で直感的な操作が可能。三脚の映り込みを隠す機能や、不動産業界向けのストレート表示など、多業種で活用できる機能が充実しています。ツアーを作成することで、空間の中を自由に移動できるバーチャルツアーや、静止動画・テキストの埋め込みなどが可能です。

公開

VR動画は、動画プラットフォームやSNSなどで公開可能ですが、媒体ごとにさまざまな設定が設けられています。たとえばYouTubeの場合、アプリを用いて「メタデータ」を挿入する必要があります。これは、VR動画として認識してもらうためのタグ付け作業です。またアップロード中に、動画を見せたい相手を設定する「公開設定」を行います。

VR動画の事例5選

VR動画は、観光や不動産、防災など、幅広い分野で活用されています。実際の活用事例をご紹介しましょう。

OKINAWA 360° -VR SEA TOUR-(沖縄)

客室乗務員向けのVR訓練など、VRを用いてさまざまな取り組みを行っている航空会社・ANAでは、気軽に旅行できない人に向けてバーチャルトリップ動画を公開。ChromeやFireboxなど360度動画対応のブラウザを利用すれば、好きな方向に視点を変えながらスキューバダイビングを疑似体験できます。

ギネスに挑戦!仰天!「スチールドラゴン2000」

ナガシマスパーランドが、走路全長2,479mという世界一長いローラージェットコースターを、乗客目線で撮影したVR動画を公開。実際の走行音や風の音で臨場感を味わえるよう、あえてBGMは挿入されていません。

「感覚過敏の疑似体験」VR映像

発達障がいを持ち、感覚過敏に悩まされている子どもたちが、周囲の事象をどのように感じ取っているかを体感できるVR動画です。パニックに陥っていく感覚や、周囲の援助でそれを回避する安堵感を、子どもの目線で疑似体験することにより、発達障がいへの理解を促しています。

【360度動画】ティンカーベル 201|VR内見|

不動産会社・URBAN CREATEが公開している賃貸物件のVR内見動画です。顧客側からすると、現地まで足を運ばなくとも広さや雰囲気を体感でき、物件の候補を絞ることができます。業者側にとっても、VR内見の導入は業務効率化や成約率アップなどさまざまなメリットを見込めるでしょう。

360度動画でVR体験!水没車両からの脱出【疑似体験版】

ゲリラ豪雨によって車の水没事故が多発している現状を受け、JAFが公開した啓発VR動画です。水没時、同乗者はどのような状況に陥るのか、いかにして脱出するかを、リアリティあるVR動画で紹介しています。

VR動画を制作するならNo.0へ

VR動画制作の初期投資をコストカットし、質の高いコンテンツを制作するには、プロに依頼することをおすすめします。

 

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VR動画で疑似体験も。さまざまなシーンで活用できる

VR動画の市場規模は急拡大を続けており、2025年には800億ドルに達すると予測されています。技術革新も目覚ましく、視聴者の関心にしたがってストーリーが分岐していくVR映画が登場。エンターテインメント分野に限らず、医療や建築の分野ではVR動画を用いた人材トレーニングが行われているほか、仮想店舗で品物選びから決済まで完了できる「VRコマース」が実用化されるなど、活用シーンは広がりを見せています。VR動画は、社会やビジネス、生活に変革をもたらす次世代ツールといえそうです。