【事例付き】企業PR動画の作り方と効果的な制作方法
2022 02.20
近年、インターネットの普及を背景に、企業PR動画をマーケティングに取り入れる企業が増えています。企業PR動画とは、テキストや画像だけでなく、「動き」や「音」を伴った動画コンテンツによって製品やサービスをPRする手法のこと。実際に目にしたことはあっても導入を検討するとなると、どのようなコンテンツが有効なのか、またどのように制作を進めればよいのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、企業PR動画を有効活用し、マーケティングを成功に導くためのポイントをご紹介します。
目次
- 企業PR動画とは
- どのような役割がある?
- 主な配信場所は?
- 企業PR動画の有効な活用シーン
- 企業のブランディング
- 自社商品やサービスの紹介
- 社内の取り組み・施策の紹介
- 採用活動
- 【ターゲット別】企業PR動画がもたらす効果
- 顧客・消費者
- 他社企業(BtoB)
- 求職者
- 企業PRを動画にするメリット
- 多くの情報が効率的に伝わる
- 見た人の記憶に残りやすい
- 拡散が期待できる
- 言葉にしにくい雰囲気やコンセプトも伝えやすい
- 会企業PR動画の作り方の流れや制作方法
- PR動画の目的を明確にする
- 動画配信で達成したい目標を定める
- ターゲットを決定する
- 一番伝えたい内容を決める
- 制作方法を検討する
- より効果的な動画にするには話題性も大事
- 【活用目的別】企業PR動画事例
- 事例(1)【ブランディング】資生堂
- 事例(2)【サービス紹介】カオナビ
- 事例(3)【採用】株式会社セレス
- 気の企業PR動画を制作するにはクオリティも重視
企業PR動画とは
企業PR動画とは、企業がマーケティングツールとして活用する動画コンテンツのこと。企業PR動画は、広報や営業、人事など、幅広い企業活動において有効です。
どのような役割がある?
インターネットが普及した現代、マーケティング手法は、5段階の消費者行動モデルに応じて考えられています。そのフェーズは「①認知・注意」「②興味・関心」「③検索」「④行動」「⑤共有」の5つ。企業PR動画は、このうち自社の商品やサービスを広く知ってもらうための「①認知・注意」を促し、より深く知りたいという「②興味・関心」を喚起するのに効果的です。
長期的な視点で見ると、検索エンジンを使った「③検索」や、実際に利用する「④行動」へとつながります。さらには、配信した動画コンテンツが注目を集めると、インターネット上で拡散され、多くの人が情報を「⑤共有」することにもなります。高いPR効果のある動画は、5段階全フェーズに好影響をもたらすことが期待できるでしょう。
主な配信場所は?
企業PR動画は、オンライン上でもオフラインでも活用できます。オンライン上では、コーポレートサイトはもちろん、SNSや動画配信プラットフォームにアップすることで、幅広いターゲットに訴求できます。オフラインの配信場所としては、自社の受付のモニターや展示会、企業説明会などが考えられるでしょう。また、街頭や駅の映像表示システム「デジタルサイネージ」も選択肢の一つに挙げられます。
企業PR動画の有効な活用シーン
企業PR動画が広く普及するに従い、活用シーンも多岐にわたっています。企業PR動画を有効に活用できるシーンを取り上げていきましょう。
企業のブランディング
企業PR動画は、企業イメージを高めるブランディングに活用できます。自社の特色を強く打ち出すことで他社との差別化を明確にし、企業優位性を高めることができるでしょう。また企業PR動画を通じて、消費者や利用者から好意的なイメージを抱いてもらうことも可能です。
自社商品やサービスの紹介
誰もが気軽に閲覧できる企業PR動画は、新規顧客に商品やサービスの価値を知ってもらい、他社との差別化を明確にするツールとして有効です。企業が自信を持って世に送り出した製品であっても、技術進歩やマス広告の氾濫によって他社製品の中に埋もれてしまうと、認知してもらうことは難しくなります。他社製品と差別化できる要素を明確に伝えるPR動画は、商品購入やサービス利用の促進も期待できるでしょう。
社内の取り組み・施策の紹介
企業の取り組みや施策をテキストと画像だけで紹介すると、堅苦しく読みづらい印象を与えがちです。「動き」や「音」のある企業PR動画なら文字を目で追う必要がなく、訴求したい内容もスムーズに伝わります。近年、SDGs等への注目度は高まっており、PR動画を通じて取り組みや施策を紹介することは、企業活動においてプラスに働きます。
採用活動
採用活動の場面で用いられる「採用動画」も、企業PR動画の一つです。採用サイトや採用パンフレットに加え、採用動画を活用する企業が増えています。内容は、業務内容や企業理念、実際に働く社員インタビューなどさまざま。同時に複数会場で流せるため、採用担当者によって紹介内容にズレが生じる恐れがなく効率的です。動画を活用した企業説明は応募者の印象に残りやすく、採用活動に有益に働くでしょう。
【ターゲット別】企業PR動画がもたらす効果
企業PR動画は、消費者をはじめクライアント企業や求職者、株主など、企業に関係するあらゆるステークホルダーがターゲットになり得ます。では、ターゲットごとにどのような効果を期待できるでしょうか。
顧客・消費者
企業PR動画は、新規顧客に対して自社の商品やサービスを知ってもらうきっかけとなります。ターゲットが既存顧客の場合は、商品やサービスへの理解度を深めてもらい、ロイヤリティを高める効果が期待できるでしょう。また、ブランディングに特化した企業PR動画の場合、企業コンセプトに共感し「この企業を応援したい!」と思ってもらうことが可能です。企業PR動画を活用したファンマーケティングが功を奏せば、リピーター増や業績アップが実現できるでしょう。
他社企業(BtoB)
他社企業に対しても、企業PR動画は有効です。動画の特性を利用すれば、自社の製品やサービスをより魅力的に伝えることができ、新規顧客の獲得や受注率アップをもたらします。活用場面も、自社サイトや展示会、セミナーなどと幅広く、広範囲なプロモーション活動が可能です。個別プレゼンテーションの手間を省略できるため、営業担当者の負担を軽減し、企業活動の効率化や円滑化につながります。
求職者
説明会で流される企業PR動画いわゆる「採用動画」は、販促で用いられるPR動画と同様、求職者に対して、企業のイメージアップ効果をもたらします。企業イメージが高まることでより求職者が増え、企業側にとっては潜在的な求職者の発掘や、質の高い人材の獲得につながるでしょう。また、動画コンテンツの場合、職場の雰囲気や社員の声がダイレクトに伝わるため、求職者のイメージと実際の業務との間にギャップも生じにくく、企業と求職者のミスマッチや、早期離職の防止にも効果的です。
企業PRを動画にするメリット
多くの情報が効率的に伝わる
動画コンテンツは短時間で大量の情報を伝達できるという利点があります。テキストと画像で構成されたツールに比べ、動画コンテンツの情報量は5,000倍ともいわれており、企業PRに動画を活用すると、適切なターゲットに向けて大量の情報を一気に届けることが可能です。また、一度制作するとさまざまな場面で繰り返し活用できるため、費用対効果の高いツールともいえるでしょう。普及が続くデジタルメディアやソーシャルメディアは多様化しているため、ターゲットに対するダイレクトなアプローチが可能です。
見た人の記憶に残りやすい
ヒューマン・コミュニケーションにおいて、言語情報は7%、聴覚情報は38%、視覚情報は55%の割合で影響を与えると言われています。そのため、テキストや画像だけでなく、「音」や「映像」を取り入れ、視覚で伝える企業PR動画は、人のイメージや記憶に残りやすいというのが特徴です。企業PR動画は人の感覚にスムーズに浸透し、深い印象を与えることができるといえるでしょう。
拡散が期待できる
動画コンテンツは、一部のユーザーにフックすれば大多数のユーザーに拡散され、いわゆる「バズリ」現象が起こります。人気ストリーマーや大手企業が制作した動画に限らず、地方観光PR動画といった意外なコンテンツがバズることも少なくありません。人は「おもしろい」という気持ちや感動を人と共有したくなるものです。企業PR動画が拡散されれば、潜在的な顧客の開拓や認知度アップを期待できるでしょう。
言葉にしにくい雰囲気やコンセプトも伝えやすい
形のある商品だけでなく、サービスやコンセプトといった無形財をビジュアライズできる点も、動画コンテンツの特長です。体験してみないとわからないサービスも、体験事例を動画で紹介すれば、視聴者に疑似体験してもらえるでしょう。造りや使用法が複雑な商品も、CGやアニメーションを用いてわかりやすく紹介することができます。
また、企業の想いやビジョンといった抽象概念も、動画を駆使すれば伝わりやすくなります。SDGsやコンプライアンス遵守といった法的な事柄を魅力的に紹介することもできるでしょう。
企業PR動画の作り方の流れや制作方法
では、実際に企業PR動画を制作するときは、どのようなポイントに留意しながら進めればよいのでしょうか。ここでは、企業PR動画の制作方法についてご紹介します。
PR動画の目的を明確にする
先にご紹介したように、企業PR動画にはブランディングや商品紹介、集客、会社紹介など、さまざまな目的があります。そのため、立案時には目的を明確にし、関係者間で共有しておくことが重要です。目的を曖昧にしたまま走り出してしまうと訴求内容にブレが生じ、制作途中で何度も修正しなければならないという事態に陥りかねません。まずは、動画の目的を明確にし、関係者間ですり合わせることから始めましょう。もし複数の目的がある場合は、動画も複数に分けて制作したほうが、各々の訴求効果が高まります。
動画配信で達成したい目標を定める
企業PR動画の達成目標を定める場合は、デジタル領域に限定し、定量的な指標を定めましょう。たとえば、再生回数や平均視聴時間、完全視聴者率によって、動画自体の反響を測る方法があります。また、資料請求や会員登録の数を分析すれば、その動画を通じてどれだけのCTA(コールトゥアクション)を促せたかがわかるでしょう。そのような数値はCV(コンバージョン率)と呼ばれ、WEBマーケティングを行う上では欠かすことのできない指標です。
ターゲットを決定する
企業PR動画をオンライン上で配信する場合も、オフラインで流す場合も、ターゲットの絞り込みが重要です。企業向け、消費者向けといったカテゴリ分けももちろんですが、そこからさらにペルソナ(人物像)を明確にしていく必要があります。どんな人物に刺さる動画コンテンツを作りたいのか、年齢や職業、文化特性にいたるまで、具体的な人物像を描き出すことで訴求が高まります。
一番伝えたい内容を決める
次に、ターゲットのニーズを把握し、核となるコンセプトを固めます。その際、自社のマーケティング課題についてもディスカッションすると、訴求すべき内容が明らかになります。コンセプトが複雑だと視聴者側を混乱させるだけでなく、担当側の意思疎通も図りづらいので、一言で定義するようにしましょう。コンセプトが複数ある場合は、動画をシリーズ化するのもひとつの方法です。
制作方法を検討する
いよいよ制作段階に入りますが、その方法は大きく内製と外注に分けられます。内製の場合、社の理念や製品、サービスについて熟知した社員が制作に関わるため、内容のすり合わせがスムーズに進むでしょう。ただし、動画制作のノウハウを蓄積した専門業者に外注したほうが、高いクオリティを求めることができます。
<内製する方法>
内製の場合、コンセプトや進捗状況が共有しやすく、コスト削減というメリットもあるでしょう。ただ、動画コンテンツ制作は、企画立案や動画撮影、編集など、多くの工程があり、効率的に進行するためには適材適所の人材配置が必要です。業務の停滞を招かないよう、担当者の選任やスケジューリングを適切に行う必要もあるでしょう。
<外注する方法>
外注を選択すれば、コストはかかりますが動画コンテンツの質を担保し、訴求効果を高めることができます。企業PR動画の場合、制作会社を選ぶポイントは、実績や技術力、センスだけでは不十分です。企業のコンセプトを具現化するためには、企業担当者の要望に耳を傾けるリスニング力や提案力が求められます。企業のコンセプトを具現化した上で、プロフェッショナルの視点や技術を加味することが重要です。
より効果的な動画にするには話題性も大事
企業PR動画に話題性を加味できれば、より効果的です。見る人の感情に訴えかけるエモーショナルな動画は、「もう一度見たい」「誰かに見せたい」という気持ちを呼び起こし、“バズる”動画となることも期待できるでしょう。また、企画立案の前にトレンド性のあるワードや事象をピックアップしておくといいでしょう。そのほか、エフェクトが話題性につながる場合もあります。ターゲットに刺さる音楽を導入したり、カット割りで緩急をつけたり、さまざまな演出によって作品の話題性を高めることが可能です。
【活用目的別】企業PR動画事例
企業PR動画の活用事例を、「ブランディング」「サービス紹介」「採用」の3カテゴリでご紹介します。自社で制作を検討しているカテゴリがあれば、参考にしてみてはいかがでしょう。
事例(1)【ブランディング】資生堂
https://www.youtube.com/watch?v=QzVO-D_CnmI
化粧品会社の資生堂が創業150周年を記念して制作した企業PRブランディング動画です。時代に先駆けて歩んできた資生堂の150年のあゆみを表現している印象的な動画に仕上がっています。
事例(2)【サービス紹介】カオナビ
社員の「顔と名前が一致しない」という問題を解決するためのクラウド人材管理システム「カオナビ」の紹介動画です。アニメーションを導入して多様なサービスを分かりやすく解説するとともに、導入事例を紹介することで、実際にシステムを導入した場合の運用法やメリットが伝わりやすくなっています。
事例(3)【採用】株式会社セレス
インターネットメディアの企画や開発、運営を行う企業「株式会社セレス」の採用動画です。社内の施設や勤務風景を動画で紹介することで、求職者が労働環境をイメージしやすいよう工夫されています。また社員のインタビューを取り入れ、モチベーションや熱意が伝わる内容となっています。
人気の企業PR動画を制作するにはクオリティも重視
企業PR動画は、さまざまな場面で活用でき、他社との差別化を図りたいときにも有効なツールとなります。制作する際には、「誰に」「何を」伝えたいのかといった、目的やターゲットを明確に置き、視聴者の印象に残る工夫をすることも重要です。スマートフォンなどでも動画撮影できる時代ですが、企業イメージの向上のためにはクオリティも不可欠。クリエイティブ視点でブラッシュアップを重ね、効果的なPR動画を作りましょう。