採用にマーケティングを導入しよう。メリットや導入時の準備を解説
2022 03.03
採用マーケティングは、労働人口の減少を背景に人材不足が進む現代において注目を集めています。優秀な人材の獲得に苦戦している企業も多いのではないでしょうか。マーケティング手法を採用活動に当てはめれば、より効果的に自社の求める人材ターゲットにアプローチした採用が行えます。この記事では、採用マーケティングの概要やメリット、実際に導入する際に必要な準備を紹介していきます。
目次
- 採用マーケティングとは
- 採用ブランディングとの違い
- 採用マーケティングが注目される背景
- 採用市場の変化
- 価値観の多様化
- デジタルマーケティングの進化
- 採用マーケティングのメリット
- 求める人材からの応募が増やせる
- 採用のミスマッチを減らせる
- コストを削減できる
- 採用マーケティングを導入する際の準備
- ステップ1:ペルソナの設定
- ステップ2:採用ターゲットのニーズ調査
- ステップ3:効果的なアプローチ手法の検討
- 採用マーケティングに動画を活用している事例
- 株式会社アーバンリサーチ
- 株式会社ベネッセホールディングス
- ウォンテッドリー株式会社
- 採用マーケティングを導入し採用を成功に導こう
採用マーケティングとは
採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を採用活動に取り入れた新しい概念のことです。既存のプロセスである「応募」「選考」「入社」に加え、応募前から認知や興味・関心の促進を目指し、入社後の定着から退職に至るまでを一気通貫でフォローしていく取り組みです。具体的には、採用したいターゲットとなる人材に向けて自社の魅力を発信したり、ターゲットのニーズに合わせて職場環境を改善したりといった活動があげられます。
採用ブランディングとの違い
採用マーケティングと混同しやすい言葉に「採用ブランディング」があります。どのようなターゲット層にどのような手法でアプローチするのかを考える採用マーケティングとは異なり、採用ブランディングは自社のブランドイメージを構築して企業の存在価値を高めるための手法です。
採用マーケティングが注目される背景
多くの企業が注目している採用マーケティング。ここでは採用マーケティングが注目される理由について紹介します。
採用市場の変化
まず1つ目に、採用市場の変化があります。少子高齢化にともなう労働人口の減少により、昨今人手不足が深刻化しています。売り手市場である採用市場では、即戦力となる優秀な人材の獲得が難しくなっていることが大きな要因です。新卒採用と中途採用それぞれの傾向について見てみましょう。
新卒採用市場における傾向
新卒採用市場では、経団連の2021年からの「採用ルールの廃止」が大きな影響を与えています。就職活動の長期化が進み、従来のインターンシップから面接までの採用プロセスが、より複雑になることが予想されます。また、ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若年層の人材獲得は年々難しくなっており、大手志向からワークライフバランスを重視する選択肢も増えてきたため、企業側もニーズに合わせた対応が必要とされています。
中途採用市場における傾向
近年、一般化してきている転職市場でも雇用の流動化が進む中、経験者層を中心とした人材不足が慢性化しています。そのため企業側としては、転職活動をしている人材をただ待つのではなく、転職潜在層までを含めた戦略的アプローチが求められています。
価値観の多様化
採用マーケティングが注目される背景に、価値観の多様化もあげられます。多くの企業が働き方改革に取り組む中、特に若年層のキャリア観の多様化やコロナ禍での働き方の変化など求職者の価値観はさまざま。給与や待遇といった雇用条件を重視した企業選びではなく、ワークライフバランスや得られる経験・スキルをもとに企業を探す現代では、候補者一人ひとりの「価値観」に合わせたアプローチが必要とされています。
デジタルマーケティングの進化
3つ目の理由は、デジタルマーケティングの進化によるものです。デジタルマーケティングとは、SNSや検索エンジン、Webサイト、アプリといったあらゆるデジタルテクノロジーを活用したマーケティングのことを言います。スマートフォンの普及により、インターネットの利用者が増加していることから、インターネットユーザーへアプローチする手法が求められています。企業が求めるターゲットに合わせた情報を発信し続けることで、最適なタイミングでターゲットの必要とする情報を届ける方法が主流になってきています。
採用マーケティングのメリット
採用活動にマーケティングを取り入れるメリットについて紹介します。
求める人材からの応募が増やせる
採用マーケティングを行うことで、求める人材からの応募が増やせるメリットがあります。自社の求めるターゲット層への効果的なアプローチができるため、母集団におけるターゲット層の質の向上が見込めます。そのため、自社の求める人材を採用しやすくなるでしょう。
採用のミスマッチを減らせる
採用のミスマッチを減らせるのも、採用マーケティングを行うメリットです。自社の情報を発信する採用マーケティングでは、理解度の高い応募者が増えるためマッチング率が高まり、入社後の早期離職の防止に役立ちます。
コストを削減できる
採用マーケティングでは、採用コストを削減できるメリットがあります。自社が求めるターゲットに特化した採用活動を行うことで採用チャネルを選んだアプローチができるため、不要なチャネルにおける広告費などを削減できます。また、前述したようにミスマッチによる早期退職を減らすことで、欠員による採用コストも抑えられます。
採用マーケティングを導入する際の準備
実際に採用マーケティングを導入する際の準備にはどのようなものがあるのでしょうか。3つのステップに分けて紹介していきます。
ステップ1:ペルソナの設定
まず始めに、ペルソナの設定をします。ペルソナとは自社のターゲットとなる「典型的なユーザーの人物像」のことを指し、マーケティングに使われる概念の1つです。採用マーケティングにおいても同様で、性別、年齢、職種、収入、学歴、役職から、ライフスタイルや趣味といった個人的な事柄について具体的に設定しましょう。採用マーケティングの効果を最大化するためにも、ターゲットとなる人材の要件定義は不可欠です。
ステップ2:採用ターゲットのニーズ調査
設定したペルソナをもとに、つぎは採用ターゲットのニーズ調査を行います。ターゲットの求めている働き方や職場環境などの条件のほか、ターゲットの心に刺さるメッセージや採用チャネルを調べることでピンポイントリーチが可能になり、効果的な採用マーケティングができます。自社の持つ過去の採用データやSNSを活用したアンケート調査など、採用ターゲットのニーズを把握しておきましょう。
ステップ3:効果的なアプローチ手法の検討
採用ターゲットのニーズを調査したら、つぎは効果的なアプローチ手法を検討します。設定したペルソナ像に刺さる最も効果的なアプローチは何かを考え、全社で認識を統一しておきましょう。アプローチ手法として、代表的なマーケティング手法である「ファネル分析」や「カスタマージャーニー」などが採用マーケティングにも応用できます。認知から入社までのプロセスごとにターゲットが今どの段階にいるのか現状を分析し、行動履歴を蓄積することで、ターゲットがどのような内容に興味を示し、どのように活動しているかが把握できます。集めたデータをもとにPDCAを回し、効果を確認しながら継続的な改善を実施しましょう。
採用マーケティングに動画を活用している事例
採用マーケティングでは、求職者が「この会社に入りたい」と感じるような発信を心がけることが大切です。会社の理念やサービス、福利厚生など自社の魅力を効果的に求職者に伝えるために多くの企業が動画を活用しています。ここでは、採用マーケティングに実際に動画を活用している事例を紹介します。
株式会社アーバンリサーチ
株式会社アーバンリサーチが配信している、新卒採用向けに作成された社長インタビュー動画です。企業のビジョンや人材へ期待することなど社長の「想い」をインタビューによって伝えています。創業社長がどのような人物なのか、この企業が何を目指しているのかを就活生に発信している事例です。
株式会社ベネッセホールディングス
https://www.youtube.com/watch?v=qQzoGlhLjB0
株式会社ベネッセホールディングスが配信している会社案内動画です。グループ全体の事業内容をテキストと画像で紹介するとともに企業理念や社員の想いを伝えています。企業理念や幅広い事業活動を3分という短い動画に端的にまとめた事例です。
ウォンテッドリー株式会社
ウォンテッドリー株式会社の、採用コンセプトを紹介している動画です。企業のミッションや会社、求める人材像についてうまくまとめています。会社の雰囲気を、社内の映像や実際に働く社員のインタビューを交えることでリアルに伝えている事例です。
採用マーケティングを導入し採用を成功に導こう
少子化に伴う労働人口の現象により人材獲得競争が激化している現在では、優秀な人材の獲得が困難になってきています。自社の求める人材を採用するためには、詳細なペルソナ設定やターゲットのニーズ調査が必要不可欠です。効果的な採用活動を行うためにも、採用マーケティングを導入して採用を成功に導きましょう。