シネマトグラファーとして働くには。ビデオグラファーとの違いや有名人も紹介

芸術性の高い動画作品を手掛けるクリエイターのことを「シネマトグラファー」と呼びます。映画の都・ハリウッドでは古くから用いられてきた言葉ですが、日本国内で浸透し始めたのは比較的最近のこと。シネマトグラファーの活躍によって、日本の動画文化はさらなる発展を遂げるものと注目されています。では、シネマトグラファーの仕事内容とは実際にどのようなものなのでしょうか。シネマトグラファーを目指すにはどのような方法があるのかも合わせて紹介します。

 

目次

  1. シネマトグラファーとは
    1. シネマトグラファーの仕事内容
    2. ビデオグラファーとの違い
  2. シネマトグラファーになる方法
    1. 学校で映画について学ぶ
    2. 現場で経験を積む
  3. シネマトグラファーが携わる作品のタイプ
  4. シネマトグラファーの有名人
    1. 加藤哲
    2. 古屋幸一
    3. 猪本雅三
  5. シネマトグラファーの求人
  6. 広く使われるようになった「シネマトグラファー」映画だけでなくさまざまな動画ジャンルで活躍できる

シネマトグラファーとは

シネマトグラファーは英語で「Cinematographer」と表記され、欧米では「Director of Photography(DP)」とも称されます。ひと言でいえば撮影監督のことを指しますが、日本では芸術的な動画作品に携わる撮影技師のことを「シネマトグラファー」と呼ぶこともあります。

シネマトグラファーの仕事内容

シネマトグラファーは、芸術性の高い動画制作に携わり、総監督のビジョンを映像化するという重要な役割を担っています。作品全体の計画を作成し、撮影だけでなく照明や美術、編集のオペレーションも統括します。そのため、シネマトグラファーには芸術センスのみならず、機材やソフトに関する専門知識、コミュニケーション能力などが求められます

 

旧来、日本では撮影チームと照明チーム、美術チームが独立性の高いオペレーションを行っていましたが、映像作品全体の調和を図るために、統合的なオペレーションを行うプロジェクトが増えてきました。そのため、国内でもシネマトグラファーの存在価値はますます高まっています。

ビデオグラファーとの違い

「ビデオグラファー」も「シネマトグラファー」も動画作品を制作するという点に変わりはなく、仕事内容にも共通項は多いです。ただ、シネマトグラファーにはより芸術的な視点やアプローチが求められます

また、ビデオグラファーは単独もしくは少人数のチームで活動するケースが一般的ですが、シネマトグラファーは大人数のスタッフと連携を図りながら制作を行います。

 

シネマトグラファーになる方法

シネマトグラファーに資格は必要ありません。学生やアシスタントとして研鑽を積み、知識と技術を習得した末に、シネマトグラファーとしての地位を確立していきます。

学校で映画について学ぶ

映像系の専門学校や芸術系の大学などで映画制作を学び、映画制作会社等に就職するのが一般的なルートです。デジタル表現技術者養成プログラムを開講している大学もあり、シネマトグラファーを志す学生が増えています。在学中もただ授業を受講するだけでなく、自主制作を行ったり、コンテストに応募したりしながら、スキルアップと人脈づくりを図ります。

 

また、文化庁では「次世代の文化を創造する新進芸術家育成事業」を実施しており、シネマトグラファーの卵にとって有益なワークショップやセミナーも開催しています。

【参考】文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」

現場で経験を積む

専門的な教育課程を経ずに、フリーのシネマトグラファーに弟子入りして業界へ入る人もいます。現場には撮影アシスタント制度があり、サード、セカンド、チーフという段階を踏んで、ようやく撮影技師として認められます。シネマトグラファーの地位につくまでには、およそ10年の修業期間が必要ですが、その間に経験豊富なシネマトグラファーから知識を吸収したり、ディレクターや技術者とつながりを持つことができるでしょう。

シネマトグラファーが携わる作品のタイプ

ビデオグラファーが制作する作品として、主にドキュメンタリーや短編映画、インタビュー、ライブビデオなどが挙げられます。一方、シネマトグラファーは、劇場用映画やストーリー性の高いミュージックビデオ、専門性の高いドキュメンタリーシリーズ等を制作します。専門性が高く責任の重い仕事ですが、映画に対し情熱を抱いている人はやりがいを感じることでしょう。

シネマトグラファーの有名人

国内外でその名を馳せるシネマトグラファーたち。彼らの作品は、多くの人の共感と賞賛を集めています。

加藤哲

名古屋市にある映像制作会社の代表を務めながら、シネマトグラファーとして活躍。「ただひとたびの人」(1995年公開)でトリノ国際映画祭審査員特別賞を受賞しています。

古屋幸一

日本撮影監督協会青年部に所属し、映画やドラマ、音楽VPなどの撮影を担当。インディペンデント映画にも活躍の場を広げています。

猪本雅三

東京国際映画祭公式出品作品「14の夜」やドキュメンタリー「たゆたふに故郷」など、さまざまな分野の作品で撮影を担当。劇場映画デビュー作「M/OTHER」でカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞しています。

シネマトグラファーの求人

国内ではシネマトグラファーという言葉が広義で用いられることが多いため、求人サイトでは映画やDVD、ウエディング、企業プロモーションなど、さまざまな業種でシネマトグラファーの募集があります。業務内容を見極めて、スキルアップを目指せる募集先を見つけましょう。

 

シネマトグラファーの求人掲示板に、自身の履歴書やPR資料を掲示するのも一つの方法です。

広く使われるようになった「シネマトグラファー」映画だけでなくさまざまな動画ジャンルで活躍できる

シネマトグラフィーは映画に限らず、芸術性やストーリー性のある動画作品の総称として用いられています。人々の心に訴えかける動画作品を制作したいと願う企業や個人が存在すれば、そこにシネマトグラファーの需要が発生します。今後、動画文化のさらなる振興によって、シネマトグラファーの需要は高まる一方でしょう。スキルを磨き人脈を開拓すれば、さまざまな道が拓けるに違いありません。