動画広告とは。活用のメリットや配信媒体別の費用相場、制作時のポイントを解説
2022 08.20
ネット広告市場の規模は年々拡大しており、中でも動画広告市場の成長率は驚異的な伸びを示しています。市場調査の結果を見ても、企業PRにおける動画広告の力は実証済みであり、数多くの企業が動画広告の導入によって認知度向上や売上アップを実現しています。しかし、動画広告には多くのメリットがある反面、デメリットがあることも否定できません。そこで今回は、動画広告を有効活用するノウハウをご紹介します。
目次
- 動画広告とは
- 動画広告が注目される理由
- 動画広告市場の拡大
- 動画広告の種類
- 動画広告のメリット
- 情報量が多い
- ストーリー性を持たせやすい
- 効果検証がしやすい
- 動画広告のデメリット
- ブロックや非表示されることもある
- 時間やコストがかかる
- 動画広告の主な配信媒体と費用相場
- YouTube
- Tik tok
- LINE
- 動画広告を制作する際のポイント
- ターゲットを明確にする
- ターゲットに合わせた配信媒体と種類を選ぶ
- ストーリー性を持たせる
- 動画広告の成功事例
- Youtubeの動画広告事例
- Tik tokの動画広告事例
- Instagramの動画広告事例
- 動画広告はさまざまな媒体で配信可能。目的に合わせて制作を
動画広告とは
「動画広告」とは、その名の通り動画クリエイティブを用いた広告のこと。広義では、テレビや街頭ビジョン、交通機関デジタルサイネージで流される広告も当てはまりますが、狭義ではインターネット上で配信される動画広告を指します。
動画広告が注目される理由
Wi-Fiや5Gの普及によって動画市場が拡大するとともに、動画広告のニーズも飛躍的に高まりました。日本国内における広告費の推移を見ると、2021年時点でインターネット広告がマスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)を上回り、マスメディアはインターネット広告に取って代わられています。今後は、インターネット上での動画広告活用が、マーケティング戦略のカギとなってきます。
(出典:株式会社電通「2021年 日本の広告費」)
動画広告市場の拡大
2010年代に始まったYouTubeのインストリーム広告を皮切りに、動画広告市場は成長の一途を辿っています。IT企業の発表によると、動画広告市場は2025年には1兆465億円に到達するという予測が立てられています。とりわけ、スマートフォン動画広告市場の躍進は目覚ましく、2024年には6,396億円に達すると予測されています。
(出典:株式会社サイバーエージェント「2021年国内動画広告の市場調査」「2020年国内動画広告の市長調査」)
動画広告の種類
動画広告は大別してインストリーム広告とアウトストリーム広告の2種類、さらにアウトストリーム広告はインバナー広告とインリード広告に分類されます。
インストリーム広告は、動画コンテンツの前後や合間に視聴動画と同じサイズで表示され、デフォルトで音声も流れます。インバナー広告は、WEBサイトのバナー広告枠に自動的に流れる動画広告です。基本的にクリックしない限り音声は流れません。インリード広告は、記事コンテンツをスクロールしている途中に自動再生される動画広告です。
動画広告のメリット
動画広告はインターネット広告の中でも、最も有効なマーケティング手法といわれています。インターネット上で拡散されやすいという利点のほかに、下記のようなメリットが挙げられます。
情報量が多い
広告動画は静止画広告と比べ、多くの情報量を短時間で伝えられるというメリットがあります。15秒の動画コンテンツには静止画約450枚分と同等の情報量があり、広告認知度を約1.6倍、広告理解度を約1.8倍、利用意欲を約7倍向上させるという調査結果が発表されています。
情報量の多さによって商品やサービスに対する理解が深まり、広告視聴時と購入時とでイメージのズレが起こりにくいという利点もあります。
(出典:Supership「自社案件ブランドリフト調査」)
ストーリー性を持たせやすい
マーケティングにおいてしばしば用いられる「ストーリーテリング」という手法があります。スタンフォード大学は、事実の列挙より物語の方が22倍も記憶に残りやすいという研究結果を発表しています。
映像と音、文字を組み合わせられる動画広告は、ストーリー性を付加しやすいクリエイティブです。ストーリー性のある動画広告は視聴者の感情に訴えかけ、潜在記憶に刻まれます。
(出典:Stanford「Harnessing the Power of Stories | Women’s Leadership」)
効果検証がしやすい
動画広告には、マーケティングにおいて不可欠な効果検証を行いやすいというメリットがあります。クリック数や完全視聴率、コンバージョン数、ユニークユーザー数などの定量データを活用して、「適切なターゲットへ効果的に届いているか」という判断を下すことができます。
検証結果を基に新たな施策の精度を高めていけば、販売促進やコンバージョン単価改善を実現できるでしょう。適切なKPIを設定しながら、PDCAサイクルを構築しましょう。
動画広告のデメリット
動画広告を活用する上で把握しておくべきデメリットは、主に下記の2点が挙げられます。
YouTube
圧倒的なユーザー数を誇る動画配信プラットフォームであり、ユーザーの年齢層が幅広いことも特徴です。広告メニューも充実しており、TrueViewインストリーム広告やTrueViewディスカバリー広告、バンパー広告など大別して5種類あります。1日の平均予算を設定でき、初めて利用する場合は、1,000~5,000円程度の少額設定が推奨されています。
Tik tok
18~24歳のユーザーが全体の42%を占めています。主に、動画文化に親しんでいる若い女性が利用しているため、動画広告への抵抗感は低い傾向にあります。
動画広告の種類は、アプリ起動時に全画面表示される起動画面広告や、コンテンツの間に挟まれるインフィード広告など。起動画面広告の相場は1日500万円前後、インフィード広告は1日42万円~が想定されます。
10~30代の若年層にリーチできるプラットフォームです。Facebookページと連動した出稿が可能。配信場所は大別して、「フィード」「ストーリーズ」「発見タブ」「リール」の4つがあり、認知度アップの場合は「フィード」、ファン獲得の場合は「ストーリーズ」など、目的に応じて選択する必要があります。
課金条件はキャンペーンによって異なりますが、CPM課金は1再生0.5~1円程度、CPC課金は1クリック40~100円程度、CPV課金は1再生4~7円程度、CPI課金は1インストール100~150円程度。広告予算を「1日の予算」もしくは「通常予算」で設定可能です。
日本国内のユーザーは30~50代のビジネス層が中心ですが、オーディエンスの設定が可能なため、ターゲティングの精度が高いメディアです。社名を「Meta」に変更したのち仮想現実分野に注力しており、今後は、VR動画広告やAR動画広告の展開が見込まれます。1日最低1ドル、およそ135円前後から出稿でき、予算変更など柔軟な運用が可能です。
LINE
2022年3月末時点で、日本国内のユーザー数は9,200万人にのぼり、広告のリーチ力が高いメディアです。性別・年齢などみなし属性を設定できるほか、「LINE NEWS」や「LINEマンガ」、「LINEショッピング」など幅広い配信場所の中からターゲットに応じた選択が可能です。アカウントを開設すれば、1日1,000円から出稿できます。
動画広告を制作する際のポイント
動画広告を制作する際は、関係者の間でコンセプトや方向性を共有する必要があります。認識のズレが生じないよう、下記のようなフローに従って制作を行います。
ターゲットを明確にする
広告戦略の第一歩として、目的を明確にします。動画広告の目的として主に、「ブランディング」「認知獲得」「販売促進」がありますが、目的に応じて動画の構成や配信場所を検討する必要があります。
次にペルソナを設定します。自社の商材をアピールしたい対象者の年齢や性別、職業、趣味嗜好などを設定することで、ユーザー視点に立てるだけでなく、制作関係者の認識共有に繋がります。
ターゲットに合わせた配信媒体と種類を選ぶ
設定したターゲットを基に、配信媒体を検討します。たとえば、ターゲットが「美容に興味のある10代女子大学生」であれば、Tik tokを中心に展開するのも一案です。
目的に応じて広告の種類を選択することも重要です。「認知獲得」が目的であれば、インバナー広告やTrueViewインストリーム広告が適しているといわれています。ユーザーの能動的なアクションによって配信されるディスカバリー広告は、「販売促進」に繋がりやすいでしょう。
ストーリー性を持たせる
視聴者の共感を得られるよう、構成にストーリー性を加味しましょう。商材を購入することで、「どのような体験ができるのか」「どのようなライフスタイルを実現できるのか」をイメージさせることが重要です。核となるメッセージを設定し、それが伝わるようなストーリーを構築します。
動画広告の成功事例
話題となった動画広告を、メディア別にご紹介します。構成や編集の参考にしてみてはいかがでしょうか。
Youtubeの動画広告事例
クラウド型バックオフィス支援システム「ジョブカン」の動画広告です。資料整理や長時間労働などオフィスの悩みを抱えるビジネスパーソンなら、社長役の小日向文世さんが絶叫するシーンに共感を覚えずにいられません。
Tik tokの動画広告事例
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日本赤十字社東京都支部が心肺蘇生への理解を促すために制作した動画広告です。リズミカルなBGMに合わせて心肺蘇生の動きを模したダンスを公開。EXILEメンバーのUSAさんが振付を担当したことで話題を集めました。
Instagramの動画広告事例
動画視聴はこちら
※2枚目がプロモーション動画
電機メーカー・パナソニックが、Instagram上で行ったプロモーション活動の事例です。新商品のオーブントースターを紹介し、冷凍パンも厚切りパンも絶妙の焼き加減に仕上げる技術を動画で分かりやすく解説しています。パナソニックは、今回の事例で初めてプロモーション戦略の主軸にInstagram広告を活用し、旧モデルの2倍の売り上げを達成しています。
動画広告はさまざまな媒体で配信可能。目的に合わせて制作を
動画広告はさまざまなメディアで配信できるほか、複数の媒体を活用するクロスマーケティングも有効です。目的やターゲットに応じた制作・運用を実現できれば、動画広告は効果最大化を見込める手法です。制作のポイントを押さえて、動画広告を自社の業績アップに役立ててみてはいかがでしょうか。