Blender作品例を一挙公開。プロの作品の他、学生の作品も特徴とともに解説

今、映像クリエイターの間で「Blender」というソフトが話題になっています。Blenderはハイエンドな商用ソフトと同等レベルの機能を備えながら、誰でも無料で利用できるオープンソースの3DCGソフトです。Blenderがどのように活用されているのか、作品事例とともにご紹介します。

 

目次

  1. Blenderとは
  2. Blenderを使ってできること
    1. モデリング
    2. スカルプト
    3. グリースペンシル
    4. リギング・アニメーション
    5. テクスチャマッピング・シェーディング
    6. シミュレーション
    7. VFX
    8. 動画編集
  3. Blenderの作品例
    1. 2045
    2. Floating Bazaar – Making Of
    3. 自主制作アニメ『異世界システム』by安田現象
    4. 短編アニメ「夜の国」第1夜 -22時の案内人
    5. 『モナーク/Monark』オープニング映像
  4. Blenderの特徴と活用するメリット
    1. 初期コストを抑えられる
    2. 多くのプラットフォームに対応している
    3. 高機能で使い勝手がよい
  5. Blender作品は販売できる
  6. アニメーション以外のBlender活用シーン
  7. アニメーション業界注目のBlender。活用シーンの拡大も期待できる

Blenderとは

オランダ生まれのBlenderは、世界各国のプログラマーがボランティアで開発した3DCGソフトです。1998年の初リリースからバージョンアップを重ね、3Dアーキテクチャによって効率的かつ多機能な制作ワークフローを提供しています。Blenderだけで3DCGの作業を完結させることも可能です。日本語対応・マルチプラットフォーム対応のおかげで、国内でもポピュラリティが高まっています。

(参考:Blender公式サイト

Blenderを使ってできること

Blenderを活用すれば、静止画像や3Dアニメーション、VFX写真、ビデオ編集などの3Dビジュアルの制作が可能です。一人のクリエイターが全機能を使いこなすのは不可能、といわれるほど奥の深いツールです。機能の一部をご紹介しましょう。

モデリング

3D空間内に配置した下絵を基にポリゴンを作成し、オブジェクトを形成する機能です。押し出しツールやナイフツール、スナップ機能、エッジループ機能などを活かして、イメージ通りの造形が可能。設定を変更すれば、CADソフトとしても流用できます。

スカルプト

あたかも彫刻するかのように直感的な操作でオブジェクトを造形できます。造形したオブジェクトは、リトポロジーによって美しいデータに再構成されます。

グリースペンシル

グリースペンシルは、他の3DソフトにはないBlender独自の機能です。この機能を用いれば、ペイントソフト感覚で、3D空間内の任意の場所に描画することが可能。2Dアニメーションに活用できるだけでなく、グリースペンシルで描いた線を3Dモデルに変換することもできます。

リギング・アニメーション

モデリングで作成したキャラクターに骨格を設定し、関節の動きをリアルに再現する機能です。

テクスチャマッピング・シェーディング

3Dモデルに質感や模様、グラデーションを付加する機能です。これにより、木や石なども写実的に見せることができます。

シミュレーション

オブジェクトの物理演算(シミュレーション)を用いて、流体や煙、パーティクルなどをリアルに表現できる機能です。たとえば重力の設定をすれば、オブジェクトが落下する様子を自動的に作成してくれます。クロスシミュレーションを用いれば、人の動きに伴ってできるシワや、風にはためく旗などを具現化できます。

VFX

実写映像をトラッキングし、特殊効果を加えて合成する機能です。実写映像とCG素材を融合するマッチムーブによって、映像表現の幅は格段に広がります。

動画編集

動画編集まで行える点も、Blenderが神ソフトといわれる所以です。トリミングやBGM、テロップの挿入、書き出しなど、基本的な編集機能を備えています。

Blenderの作品例

Blenderは、コミュニティによるサポート、パイプライン化をはじめ、小規模スタジオや個人でも活用しやすい特性を備えています。新進気鋭のクリエイターによって個性的な作品が発表されているので、制作の参考にしてみてはいかがでしょうか。

2045

何者かに操作されたナノロボットが、世界を崩壊に導くストーリー。中学生の個人制作ということもあって「すごい作品」と話題を呼び、再生回数は150万回を超えています。

Floating Bazaar – Making Of

インドのバザール風景を3DCGで再現した、個人のアートワーク。制作工程も垣間見せてくれます。BGMは挿入されていませんが、バザールの喧騒が伝わってきそうな作品です。

自主制作アニメ『異世界システム』by安田現象

モデリングからコンポジットまで一貫して個人で行うアニメーション作家・安田現象氏のオリジナルショート作品。自然風景やデジタル世界を緻密に表現しています。

短編アニメ「夜の国」第1夜 -22時の案内人

少人数チームでアニメ制作を行う「studio daisy」のショートアニメです。Blenderで原画を制作し、カメラワークなどをAfter Effectsにインポートする仕組みを開発。工数を削減した分、作画にこだわりを注いでいます。

『モナーク/Monark』オープニング映像

アニメーション制作チーム「Hurray!」が手掛けた、学園RPG「モナーク/Monark」のオープニング映像です。3人の少人数体制にもかかわらず、BlenderやAfter Effectsを駆使してハイクオリティなアニメーション制作を実現しています。

Blenderの特徴と活用するメリット

Blenderはフリーウェアにもかかわらず、1シーズン(3カ月)周期でアップデートを重ねており、コスト面だけでなく機能面でも大きな活用メリットがあります。

初期コストを抑えられる

完全無料にもかかわらずハイスペックな機能を備えている点は、3DCG専門外のクリエイターにとっても大きなアドバンテージといえるでしょう。不定期な3DCG受注のために高価なソフトを購入するのはハードルが高い、と考えるクリエイターにとって、フリーソフトは魅力的です。初期コストを抑えられるというメリットが、ユーザーの裾野を広げています。

多くのプラットフォームに対応している

Blenderは、WindowsやMac、Linuxに対応するクロスプラットフォームアプリケーションです。インターフェースに OpenGL を採用しており、どのプラットフォームでも均一的なエクスペリエンスの提供が可能です。

高機能で使い勝手がよい

Blenderはバージョンアップを重ねるごとに操作性が向上しています。軽快な操作性と高速レンダリングは、クリエイターの作業ストレスを大幅に軽減しました。2019年に登場した2.8xには、レンダリング前にプレビューを再生できるリアルタイムレンダラー「Eevee」が搭載されています。

 

モーショントラッキングを用いて実写を合成する場合も、CG空間の中で撮影を行う場合も、高精度な映像表現が可能です。Mayaをはじめとするメジャーソフトと比較しても、遜色のないハイスペックツールといえるでしょう。

Blender作品は販売できる

Blenderを用いた作品の著作権は制作者が取得でき、私用はもちろん商用利用が可能です。作品中に他者が制作したモデルやオブジェクトを使用した場合は例外ですが、基本的に販売も認められています  

アニメーション以外のBlender活用シーン

アニメーション制作に多く用いられているBlenderですが、機能の拡充に伴い活用シーンは多様化しています。建築パースやCAD、製造業におけるシミュレーション、商業施設でのサイネージ接客がその一例です。

アニメーション業界注目のBlender。活用シーンの拡大も期待できる

Ubisoftのアニメーション制作部門であるUbisoft Animation Studioが、デジタルコンテンツ制作のメインツールをBlenderに移行するなど、アニメーション業界はBlenderに大注目。

 

Blenderは、2025年までのアップデートプランを公開しており、さらなる機能拡張が期待されています。今後は、バーチャルショッピングセンターに3Dモデル化したスタッフを配置するなど、メタバース内での活用も進められるでしょう。