漫画にもUnreal Engineは使われている!活用方法や事例を紹介
2022 06.22
日本の漫画は、メディア芸術の一ジャンルとして認知されるほど、高いアート性を誇っています。その創造性を支えるツールとして、ゲームエンジン「Unreal Engine」の注目度が高まっています。ゲーム世界に没入するために開発された美しいグラフィック性能を漫画に転用すれば、フォトリアルな背景やモデルを描き出すことができます。専門知識のない人でも扱いやすい操作性能を備えているので、この記事を参考に活用してみてはいかがでしょう。
目次
- Unreal Engineとは
- Unreal Engineで漫画も作れる
- Unreal Engineで作られた漫画の事例
- 浅野いにお「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」
- 藤巻忠俊「キルアオハル」
- Unreal Engineが漫画制作におすすめな理由
- ツールが導入しやすく使いやすい
- アセットの種類が豊富かつ無料
- 覚えたスキルが無駄にならない
- Unreal Engineでの漫画背景の作り方
- ステップ(1)ストアからアセットを選ぶ
- ステップ(2)小道具や人物を配置する
- ステップ(3)絵のタッチに合わせてトレースする
- Unreal Engineを活用し、効率のよい漫画制作を
Unreal Engineとは
Unreal Engineとは、アメリカのEpic Games社が3Dゲーム制作向けに開発したゲームエンジンです。他のゲームエンジンと比べても高いグラフィック性能を誇り、ゲームの枠を超えて、映画やアニメ、イラストレーションのほか、建築や自動車など幅広い分野で活用が進んでいます。
Unreal Engineで漫画も作れる
Unreal Engineの3DCG技術は、ネームやモデル、描画などさまざまなフェーズに活用できます。
https://www.docswell.com/s/EpicGamesJapan/56J4EK-UE4_MAIDO2022_Manga/25
漫画家の間では、Unreal Engineを活用することで、思いもよらなかった視点や新たな表現を手に入れたという声も上がっています。
Unreal Engineのシーケンサー上で直接コンテを描ける「EPOS」を活用すれば、チーム全体で最新タイムラインを共有しながらイテレーションを重ねることもできます。
Unreal Engineで作られた漫画の事例
名の知れた漫画家が、漫画と3DCGの親和性の高さを作品内で実証しています。活用事例をご紹介しましょう
浅野いにお「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」
密度の高い背景によって、登場人物のバックボーンや人間性を表現している浅野いにお氏。以前は自身で撮影した画像を漫画に落とし込んでいたそうですが、Unreal Engineを導入したことで、表現の自由度が増したと語っています。
藤巻忠俊「キルアオハル」
週刊少年ジャンプの読切作品『キルアオハル』は Unreal Engine を漫画制作にどのように活かしたか
「黒子のバスケ」などで知られる人気漫画家・藤巻忠俊氏は、読切作品「キルアオハル」でUnreal Engineを活用。有料アセットをレイアウトし、学校や敵のアジトなどを描き出しています。藤巻氏は、Unreal Engine導入のメリットとして、画角やアングルを自由に調整できる点を挙げています。
Unreal Engineが漫画制作におすすめな理由
ツールが導入しやすく使いやすい
https://www.docswell.com/s/EpicGamesJapan/56J4EK-UE4_MAIDO2022_Manga/26
実例をご覧いただくと、Unreal Engineを導入することで描画のクオリティアップを実現できることがうかがえます。そのほかに、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ツールが導入しやすく使いやすい
https://www.docswell.com/s/EpicGamesJapan/56J4EK-UE4_MAIDO2022_Manga/27
Unreal Engineが幅広い分野に浸透した背景の一つとして、職種を問わず使いやすい操作性が挙げられます。ブループリント機能によって一からプログラミングする必要がなく、視覚的にオブジェクトの追加やキャラクター操作が可能です。基本操作をマスターすれば、自由な角度から3D画像を撮り、下書きのガイドや背景として利用できます。まだ3D技術を持つ漫画制作者が少ない中、Unreal Engineは導入のハードルが低いツールといえるでしょう。
また、漫画制作に関してはダウンロード無料・ロイヤリティフリーで利用でき、報告等の必要がない点も大きなメリットです。
アセットの種類が豊富かつ無料
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オンラインストア「UEマーケットプレイス」はもちろん、Unreal Engineと統合されたエコシステム「Megascans」のライブラリにも、膨大な数のアセットがラインナップされています。ハリウッド映画で使用されている高品質のアセットも、Unreal Engineで使用する限りロイヤリティフリー。UEマーケットプレイスの有料アセットを含めると、膨大な素材が手に入るため、制作コストと時間をカットできます。
覚えたスキルが無駄にならない
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Unreal Engineのスキルは、漫画業界だけでなく幅広い業界で活かすことができます。ゲームや映像作品といったエンターテイメント分野をはじめ、建築、自動車、教育の分野でもUnreal Engineクリエイターが活躍しています。3DCG業界の飛躍的な成長を見ると、Unreal Engine習得は将来的に有用であり、さまざまな可能性が手に入るスキルといえるでしょう。
Unreal Engineでの漫画背景の作り方
Unreal Engineを活用したデジタル作画は、初期投資なしに今すぐ始められます。下記の手順を参考に、トライしてみてはいかがでしょうか。
ステップ(1)ストアからアセットを選ぶ
公式サイトからEpic Games Launcher をダウンロードし、起動後Epic Gamesアカウントを作成して、Unreal Engineにアクセス。Unreal Engineの最新バージョンをダウンロードして、新たなプロジェクトを作成します。「マーケットプレイス」のタグからストアに移動し、ネームでイメージした背景や小道具、人物に近いアセットを選んで、プロジェクトに追加します。
ステップ(2)小道具や人物を配置する
画面上部の「モード」から、背景や小道具、人物を画面に配置していきます。アセットはドラッグ&ドロップで配置でき、位置や方向、大きさなどの変更も思いのまま。イメージ通りの背景が完成したら、視点を調整しながらスクリーンショットを撮影します。
ステップ(3)絵のタッチに合わせてトレースする
画像の加工は、PhotoShopやCelShader、Clip Studio Paint、PPLineDrawingなど、自分にとって使い勝手のいいソフトに読み込んで、線画を抽出し、色調を補正します。レイヤーを重ねていくと緻密なタッチを表現でき、そのまま漫画に使用できます。
Unreal Engineを活用し、効率のよい漫画制作を
効率化やクオリティアップを求める漫画制作の現場において、Unreal Engineはソリューションの軸となりえます。3DCG技術の活用によって、日本の漫画文化はさらなる進化を遂げることでしょう。漫画業界を目指す方も活躍中の方も、Unreal Engineの活用を検討してみてはいかがでしょうか。