動画マーケティングとは?会社での活用目的や成功ポイントを事例付きで紹介

認知度向上やブランディングなどを目的に活用される「動画マーケティング」。近年のSNSやスマートフォンなどの普及から、より注目を集めるようになったマーケティング手法です。実際に、動画広告などを目にしたことがある方は多いと思いますが、具体的に得られる効果や、成功するための秘訣などを知りたいという方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、動画マーケティングの概要や注目される背景、動画マーケティングによるメリットなどを事例を交えてご紹介します。

 

目次

  1. 動画マーケティングとは
  2. 動画マーケティングに注目が集まる背景や現在の市場
    1. 背景
    2. 市場動向
  3. 動画マーケティングで使われる手法
    1. 動画広告
    2. その他の動画コンテンツ
  4. 動画マーケティングの効果やメリット
    1. 記事コンテンツより伝わる情報量が多い
    2. 見た人の記憶に残りやすい
    3. SNSなどでの拡散につながる
    4. 効果検証や改善がしやすい
  5. 会社で活用できる動画マーケティングの活用目的とKPI指標の例
    1. 企業ブランディング
    2. サービスや商品の認知度向上
    3. 商品購入に対するリピーター作り
  6. 動画マーケティングを成功に導くポイント
    1. 動画を活用する目的を明確に把握する
    2. 目的に合わせ、適切な配信媒体を選択する
    3. 冒頭でインパクトを与えられる動画にする
    4. PDCAを回しながら効果を高める
  7. 動画マーケティング事例
    1. 事例(1)【社員インタビュー】タカラトミー
    2. 事例(2)【ブランディング】macaroni
    3. 事例(3)【サービス紹介】Hive
  8. 動画マーケティングが学べる本
    1. KPI・目標必達の動画マーケティング成功の最新メソッド(成功の最新メソッドシリーズ)
    2. アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52
  9. 効果的な動画マーケティングを始めよう

動画マーケティングとは

「動画マーケティング」とは、商品やサービス、また企業の魅力などを動画を通じて発信するマーケティング手法のことです。SNSなどが普及したことで、今注目されているマーケティング手法とも言えるでしょう。SNSやYou Tubeなどで動画を用いた商品紹介をすることだけでなく、採用を目的に会社のホームページや説明会の場で動画を流すことも、動画マーケティングに含まれます。

 

ただし、動画を制作・公開して終わりではありません。制作前の企画設計から、公開後の効果を見るための分析までの一連の流れが「動画マーケティング」と呼ばれています。

動画マーケティングに注目が集まる背景や現在の市場

動画マーケティングに注目が集まる背景には、どのような要因があるのでしょうか。背景と現在の市場動向について解説します。

背景

動画マーケティングが注目され始めた背景には、「スマートフォンの普及」や「インターネット環境の整備」などがあります。

 

生活者がそれぞれ一台ずつスマートフォンを持つのが一般的となった今、一人ひとりがメディアに接触するのが当たり前になりました。これにより生じた変化の1つが、生活者の動画視聴時間の増加です。通勤・通学中や、仕事の休憩中、寝る前など、一日のうちのあらゆる時間・場所で動画視聴が可能となりました。手軽に動画視聴ができるようになったことで、動画マーケティングの効果がより大きくなると期待されています。

 

また、スマートフォンの普及と同時に「4G通信」、2020年には速度が4Gの100倍と言われる「5G通信」が始まりました。これに伴い、各キャリアでは、データ無制限などの大容量プランを発売。これらの通信環境の整備が進んだことで、生活者は高画質の動画を好きなだけ視聴しやすくなり、マーケティング施策での動画活用も、今後ますます増えていくことが予想されています。

市場動向

では、実際に動画マーケティングにおける市場はどのような状況なのでしょうか。株式会社サイバーエージェントが2020年12月に発表した、国内動画広告の市場動向調査によると、2020年の動画広告市場は2,954億円で、昨年比114%の見通しとなりました。また、2021年には3,889億円、2024年には6,856億円に達すると予測しています。

 

デバイス別に見ると、2020年のスマートフォン動画広告需要は2019年と比べて115%の2,635億円にのぼり、動画広告需要全体の89%を占める見込みとなりました。今後も、スマートフォンの普及を背景に動画広告需要全体の成長をけん引することが予想できます。

 

(参考:株式会社サイバーエージェント「【1】 動画広告市場推計<デバイス別>(2019年-2024年)」

動画マーケティングで使われる手法

動画マーケティングの施策は、大きく「動画広告」と「動画コンテンツ」の2種類に分けられます。それぞれの具体的な内容をまとめました。

動画広告

ユーザーがYou Tubeなどで動画を見る際に表示されるのが「動画広告」です。動画広告にもさまざまな種類がありますが、主なものは以下の3種類です。

 

  • インストリーム広告:ユーザーが視聴する動画の最初・中間・最後に表示される
  • インリード広告:Webページのスクロール時に表示される
  • インバナー広告:Webサイト内の広告枠に表示される

 

この内、よく活用される動画広告は「インストリーム広告」で、YouTubeでもよく見かける種類です。動画コンテンツを再生している最中で広告を流せるため、多くの人に対し効果的なプロモーションができます。

その他の動画コンテンツ

一方、動画広告以外でマーケティングに使われる「動画コンテンツ」とは、ストーリー性があったり、おもしろさで目を惹いたりする映像のこと。例えば、動画コンテンツには以下のような種類が該当します。

 

  • 商品・サービス紹介動画
  • ブランディング動画
  • 採用動画

 

このような動画コンテンツは、商品やサービス、企業の認知度向上を狙うケースで有効と言われています。

動画マーケティングの効果やメリット

動画マーケティングを行うことで企業で期待できる効果や、動画マーケティングのメリットには、以下のようなことがあります。

記事コンテンツより伝わる情報量が多い

動画はテキストで伝える記事コンテンツと比較して、商品やサービスの魅力が伝わりやすいといった特徴があります。動画ならではの表現方法により、ユーザーに対してより具体的な情報やイメージが伝わると、結果として商品購入や問い合わせ数の増加にもつながるでしょう。また、記事コンテンツのように自分でテキストを読む必要がないため、別の作業をしながらや、作業中の隙間時間などでも視聴しやすく、短時間である程度の情報が伝えられます。そのため、視聴者が次のステップに進みやすいといったメリットもあります。

見た人の記憶に残りやすい

テキストと比べて、動画の視聴は見た人の記憶にも残りやすいといったメリットもあります。BGMや登場人物などの動き、表情などは、その動画を見た人の感情を動かす効果もあるでしょう。一般的に、感情を動かす効果のある動画によってインプットされた情報は、長期的にその人の記憶にも残りやすいと考えられています。実際に、動画マーケティングではこのような特徴を活用し、見た人にインパクトを与える工夫をすることが多いでしょう。

SNSなどでの拡散につながる

より多くの表現方法ができ、視聴者にインパクトのある動画は、SNSなどで拡散されるケースも少なくありません。このように幅広く拡散されること、いわゆる「バズる」可能性がある動画マーケティングは、企業が想定していた以上のマーケティング効果をもたらすこともあるでしょう。SNSが普及してきた現代のマーケティング手法としても効果的です。

効果検証や改善がしやすい

どのようなマーケティング施策でも、公開後の効果測定は重要です。動画マーケティングでは、動画の再生回数や問い合わせ数などから、効果を測定することができます。その結果をもとに改善を重ねることで、動画のクオリティを高め、より効果的な動画にブラッシュアップしていくことができるでしょう。

会社で活用できる動画マーケティングの活用目的とKPI指標の例

企業がマーケティングにおいて動画を活用したい場合、主に以下の3つのケースで活用できます。ただし、活用目的によってKPI指標は異なるため、実際の目的ごとに正しい指標で効果を測っていくことが重要です。

 

(1)企業ブランディング

動画マーケティングは、企業などのブランディング目的で活用できます。自社で開発する商品や、ブランドのファンの獲得などを狙うためには、ユーザーに対してその商品やブランドの魅力を発信し、正しい理解を促す必要があるでしょう。このようなときにも、言葉や静止画では伝えにくい表現ができるといった、動画の大きな特徴が生かせます。また、ユーザーに対して直感的な情報を伝えられるため、より理解されやすい情報発信が可能です。

 

【KPI指標】

  • 再生完了率  :一定秒数の動画視聴が行われた割合
  • 総再生数   :動画が再生された時間の合計
  • 平均再生時間 :ユーザー1人あたりの平均再生時間
  • ブランド好意度:動画視聴によって変化したブランドへの好意度の程度

 

商品やブランドの理解を促し、ブランディングにつなげるためには、動画視聴を長く継続的にしてもらうことが重要となるでしょう。

(2)サービスや商品の認知度向上

視覚から情報を得る動画は、SNSやウェブページなどでもユーザーの目をひきやすいといった特徴があります。より多くの人の目にとまることで、商品やブランドの認知度向上に役立てることもできるでしょう。またSNSなどでより多く拡散されれば、効果的な認知獲得が実現します。

 

【KPI指標】

  • 再生回数     :動画が再生された総回数
  • インプレッション数:動画が表示された総回数
  • ユニーク視聴者数 :動画を視聴した実人数
  • ブランド認知度  :動画視聴によって変化した認知度の程度

 

商品やブランドの認知度を高めるには、より大人数に動画を見てもらうことが大切です。

(3)商品購入に対するリピーター作り

商品の詳細をより直感的に伝えることができる動画は、ユーザーの購買意欲にも効果をもたらします。近年、インターネットショッピングなど、オンラインでの商品購入が主流となりつつありますが、こうしたインターネットショッピングなどでは、ユーザーが直接商品に触れたり、説明を受けたりすることはできません。このような状況で商品購入を促すには、商品の特徴や使い方を理解してもらう必要があるでしょう。静止画やテキストよりも、より詳細に伝える動画を用いることにより、購入数の増加やリピーターの増加にもつながります。

 

【KPI指標】

  • クリック率   :広告が表示された回数における広告がクリックされた割合
  • コンバージョン数:目的としたアクションの回数
  • CVR      :動画が設置された広告LPへの訪問数におけるCVの発生割合
  • 購買意向度   :動画視聴によって変化した商品やサービスの購買意向の程度

 

動画マーケティングにより、ユーザーの行動を促す場合には、その行動へと効率的に導く必要があります。

 

 

動画マーケティングを成功に導くポイント

動画の特徴を生かし、さまざまな効果が得られる動画マーケティングですが、ただ作成した動画を公開するだけではマーケティングの効果も思うように得られません。動画マーケティングを成功させるにはどのような工夫が必要なのでしょうか。

動画を活用する目的を明確に把握する

動画マーケティングを効果的に行うためには、その動画により「どのような効果を得たいのか」といった目的を明確にする必要があります。その目的を達成するために動画が適切かどうかも含め検討した上で、施策の設計をしましょう。加えて、上記で説明したようなKPIを設定しておくことも重要です。

目的に合わせ、適切な配信媒体を選択する

近年、SNSの普及により動画を配信する媒体も増えています。それぞれの媒体によって特徴があり、ユーザーの属性なども異なるため、自社がターゲットとするユーザー層に対して適切な配信場所を選択することが重要です。ターゲットのニーズを捉えた動画は興味がもたれやすいこと、またターゲットがよく利用するSNSなどの方が視聴数が増加します。配信場所にを事前に調査しておくことで、結果的に目的の達成率も高まるでしょう。

冒頭でインパクトを与えられる動画にする

動画の世界では、一般的にユーザーが最も興味を持って視聴するタイミングは「冒頭の5秒間」とも言われています。そのため、最初の数秒でインパクトを与えられる動画を制作するのが成功するための工夫となるでしょう。例えばYouTubeなどのインストリーム広告では、動画の再生から5秒経過するまでスキップができません。つまり、再生開始からの5秒間は、どのユーザーも動画を視聴することになります。見られる回数が増えることで認知度が上がり、商品やサービスの利用につながることも期待できます。

PDCAを回しながら効果を高める

動画に設定したKPIに基づき結果を出し、仮設立て・検証を行い、より良い動画へと改善すていくこともマーケティング施策として重要なポイントです。動画を公開して終わりではなく、効果をより得られるよう施策改善が行える運用体制を構築し、施策を成功させましょう。

動画マーケティング事例

実際に、動画マーケティングを行っている企業の事例を紹介します。

事例(1)【社員インタビュー】タカラトミー

タカラトミー 新卒採用ムービー

 

おもちゃの製造・販売でお馴染みの「株式会社タカラトミー」では、社員インタビュー動画を公開しています。おもちゃのイメージが強いですが、実際にはどのような部署でどのような人材が働いてるのかといった、会社の裏側をイメージできるような動画です。動画の冒頭では、タカラトミーの企業理念をテロップで入れるなど、会社として大事にしている姿勢も伝わる工夫がされています。

事例(2)【ブランディング】macaroni 

【 毎日をもっとおいしく 】macaroni オフィシャル ブランドムービー

 

株式会社トラストリッジが運営する「macoroni」は、食に関する情報を発信するWebメディアです。このオフィシャルブランドムービーは、さまざまなライフスタイルの女性の「食」をテーマに構成され、スマートフォンで実際にmacaroniをチェックしている様子が撮影されています。動画全体もWebメディアの雰囲気に合わせたナチュラルな印象です。

事例(3)【サービス紹介】Hive

Hive(ハイヴ)|サービス紹介

 

株式会社No.0が運営する、動画制作をしたい企業と動画クリエイターとをマッチングする「Hive」では、サービス紹介の動画を公開しています。イラストの動きとともに、主なサービス内容をテロップに入れることで効果的に発信。イエローとブラックのカラーが印象的で、視聴者を離脱させないインパクトがある動画です。

動画マーケティングが学べる本

近年、動画マーケティングが注目され始めたことで、自社制作や個人的に動画制作を行う人も見られるようになりました。動画マーケティングの基本を学べる本を紹介します。

KPI・目標必達の動画マーケティング成功の最新メソッド(成功の最新メソッドシリーズ)

動画制作前に決定しておくべき企画や戦略の考え方など、実践に役立つノウハウがまとめられた本です。内製時に必要となる機材や、撮影〜編集の流れのほか、外注時にクリエイターやマーケティング会社などに伝えるべき仕様や制作体制づくりなどを解説。

 

この他にも、動画をより多くの人に見てもらうための、SNSやYouTubeにおける効果的な動画活用と拡散術、動画広告を出す際に押さておきたいポイントなども紹介しています。「動画マーケティングをこれからはじめてみたい方」「動画を投稿したものの、あまり見てもら得ず効果が得られない方」などにおすすめです。

アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52 

元テレビ朝日のプロデューサーが、SNSやYouTubeでの動画へのアクセス数や登録を増やすための「仕掛け」を解説。写真や図を豊富に用いているため見やすく、撮影だけではなく、編集する際の「テキスト」「キャッチコピー」「構成」「声」「音楽」「ナレーション」などについても言及しているのが本書の特徴です。”バズる”動画を作成する秘訣が詰め込まれた一冊と言えるでしょう。  

効果的な動画マーケティングを始めよう  

動画マーケティングは、企業ブランディングや自社商品・サービスの利用促進にも効果的なマーケティング手法です。大きな特徴は、テキストや静止画のみでは伝えにくい表現が可能なため、見た人の記憶に残りやすいこと。また、拡散力もあるため、ユーザーの心を動かす動画を発信することで、コスト以上の効果も期待できるでしょう。成功するための工夫を凝らしながら、動画マーケティングを始めてみてはいかがでしょうか。