デジタルサイネージ広告が拡大中。狙える効果や活用シーン、料金例を紹介

LCDやLEDなど、電子的なディスプレイを用いた広告のことをデジタルサイネージ広告と呼びます。小型のタブレットから壁面を覆う大型ビジョンまで、多彩なサイズ展開が可能です。ディスプレイ技術の進歩に伴ってデジタルサイネージ広告のクリエイティブ性も向上し、高い費用対効果を期待できるようになりました。そこで、デジタルサイネージ広告の導入を検討している方のために、そのメリットを最大限に活かすノウハウを解説します。

 

目次

  1. 普及するデジタルサイネージ広告
  2. 広告効果を高めるデジタルサイネージの特徴
    1. 視聴者へ与えるインパクトが大きい
    2. リアルタイム配信が可能
    3. 期間や時間帯を限定した情報発信が可能
    4. ユーザーが知りたい情報にたどり着きやす
  3. デジタルサイネージ広告の設置場所の例
    1. タクシー
    2. ビルボード
    3. スーパー
    4. 大学
  4. 企業がデジタルサイネージ広告を出す方法
    1. 自社で設置する
    2. 既存のデジタルサイネージに出稿する
  5. 【自社設置の場合】デジタルサイネージ広告の導入に必要な費用
    1. ディスプレイ費用
    2. STB費用
    3. CMS費用
    4. コンテンツ制作費用
    5. 工事費用
    6. 運用費
  6. 【出稿する場合】既存のデジタルサイネージへの広告料金例
    1. 郵便局広告
    2. 駅内広告
    3. 屋外広告:六本木ヒルズ・メトロハット外周
  7. より効果の高いデジタルサイネージ広告は動画活用がおすすめ

普及するデジタルサイネージ広告

デジタルサイネージ広告が普及し始めたのは、2000年に入ってからのこと。JR東日本が開始したトレインチャンネルの成功を皮切りに、ディスプレイ技術の進歩という追い風に乗って、瞬く間に普及しました。2010年代以降、ARとのコラボも本格化し、デジタルサイネージ広告の領域はますます広がっています。

 

 

広告効果を高めるデジタルサイネージの特徴

デジタルサイネージ広告は、従来の広告手法であるポスターや看板とは異なる効果を期待できます。その特徴を見ていきましょう。

視聴者へ与えるインパクトが大きい

デジタルサイネージ広告は、静止画のスライドや動画、アニメーションなど、多彩なグラフィックを取り入れられるため、表現の幅が広いコンテンツです。動画は、看板やポスターといった静止画に比べてインパクトがあり、ターゲットの注意を引きやすいという特徴があります。近年ディスプレイの精度も上がっているため、視認性やアイキャッチ効果は一層高まっているほか、音楽を付加できる装置であれば、視覚だけでなく聴覚に訴えかけることができるでしょう。動画には、視聴者にストレスを感じさせず、多くの情報量を伝えられるというメリットがあり、高い集客効果を期待できます。

リアルタイム配信が可能

オンライン型(クラウド活用型)のデジタルサイネージ広告の場合、設置すれば遠隔操作でリアルタイム配信が可能です。看板やポスターの場合、内容更新のたびに現地まで向かい貼り替える必要があり、時間と手間がかかってしまいます。その点、デジタルサイネージ広告は人件費等のコストカットが可能なだけでなく、新鮮な情報を即時発信できるという利点があります。

期間や時間帯を限定した情報発信が可能

デジタルサイネージ広告は、「日単位」や「時間単位」の情報発信が可能です。物販であればセール期間限定の配信によって短期的集客を図ることができるでしょう。飲食店であれば昼食時にランチメニュー、夕方以降にディナーメニューの情報を発信するなど、時間単位の配信が有効です。また交通機関に設置する場合、朝の通勤時間はサラリーマン、昼間は主婦層をターゲットにした広告を配信するなど、セグメンテーションに基づいたアプローチが可能となります。

ユーザーが知りたい情報にたどり着きやすい

デジタルサイネージ広告は、商圏に応じて内容を変更できるターゲティング広告のため、ユーザーが知りたい情報を得やすいという利点があります。たとえば、フィットネスクラブでは健康食品の広告を、美容院ではコスメアイテムの広告を配信するなど、ターゲットに応じた商品プロモーションが可能です。また、タッチパネル型デジタルサイネージ広告の場合、ユーザーが画面をタッチして、情報を取捨選択することができます。そのようなインタラクティブサイネージであれば、コンバージョン測定やユーザー満足度向上を図ることもできるでしょう。

デジタルサイネージ広告の設置場所の例

デジタルサイネージ広告の設置場所は、大別して「交通広告」「屋外広告」「屋内広告」の3つ。交通広告の例として駅構内や電車内、タクシーなどが挙げられます。屋外広告は建物の外壁や店頭、自動販売機など。また普及率の高い屋内広告は、商業施設に限らず公共機関や学校など、幅広いロケーションに拡大しています。

デジタルサイネージ広告は、駅構内の壁面や柱でよく見受けられます。駅は、電車の待ち時間や待ち合わせのために人の滞留時間が長く、自然と広告を見る機会が多くなるため、反復訴求効果を期待できるでしょう。都市部に立地する主要駅の場合、視聴回数はテレビCMに匹敵するとも言われています。利用者が若年層や富裕層に偏っている駅もあるため、駅ごとの利用者傾向を把握して出稿するのが望ましいでしょう。

タクシー

タクシー内のデジタルサイネージ広告は、主に運転席と助手席の間に設置されます。タクシーはほかの交通機関と比べ、経営者をはじめとするビジネスパーソンや富裕層の利用率が高い傾向にあります。普段、テレビやWEBコンテンツを視聴する時間が少ないビジネスパーソンも、乗車中であれば広告を視聴する可能性が高まるでしょう。顔認証機能によって性別や年齢を判別し、自動的に配信内容を選別することも可能です。

ビルボード

屋外のデジタルサイネージ広告の中で、最も大型のものがビルボードです。ビルの壁面や高速道路のインターチェンジ、交差点などで目に飛び込んでくる機会は多いでしょう。不特定多数への認知向上に適していますが、学生街やオフィス街で特定のターゲットに向けたプロモーションも可能です。同一の場所で長期間掲示する場合、歩行者の目に繰り返し触れるため、企業への親和性向上を期待できるでしょう。

スーパー

スーパーマーケットにおけるデジタルサイネージ広告の役割として、販促や情報提供、空間演出が考えられます。限定商品や特売商品を紹介して売上向上を図ったり、レシピや生産者の情報を配信して顧客満足度向上を図ったりと、さまざまなシーンで活用できるでしょう。また、殺風景な売場に設置し、美しい映像やBGMで空間を演出することも可能です。

大学

日々、多くの人と情報が行きかう大学構内において、デジタルサイネージ広告の導入は有用性の高い方策です。学生向けの広告出稿によって、企業から広告収入を得る大学も増えています。学生向けの賃貸物件やアルバイト、サービスなどの情報を配信すれば、有効なリアクションが期待できるでしょう。このほか、講義スケジュールや就職活動などの情報提供にも適しています。多言語切り替え機能を持ったデジタルサイネージであれば、留学生の多い大学で活用度が高まるでしょう。

企業がデジタルサイネージ広告を出す方法

企業がデジタルサイネージ広告を新規出稿する場合、どのような選択肢が考えられるでしょうか。

自社で設置する

映像表示装置(デジタルサイネージ)は家電量販店等で販売されているほかレンタル会社も数多く起業しているため、自社で設置・配信を行うことが可能です。サイネージソフトには、WEB上で更新可能なクラウド型やインストール方式のソフトウェア型などがあるので、用途に応じて入手しましょう。また、設置の際には、屋外広告物法や屋外広告物条例、屋外広告業規制の定めに従う必要があります。
(参考:国道交通省「屋外広告物制度の概要」)

既存のデジタルサイネージに出稿する

他社が設置しているデバイスを利用することも可能です。デジタルサイネージ広告の市場は拡大を続けており、コンテンツ制作や配信・運用サービスを請け負う事業者も多数参入しています。広告代理店等に相談して、自社のニーズに合った業者を選択しましょう。

【自社設置の場合】デジタルサイネージ広告の導入に必要な費用

デジタルサイネージ広告の導入には、どのような経費項目が発生し、どの程度の費用がかかるのでしょうか。おおよその目安を提示します。

ディスプレイ費用

ディスプレイはサイズや仕様によって価格相場は大きく異なります。屋内用は10万~40万円、屋外用は防水・防塵設計となっているため屋内用より高額で20万~300万円と言われています。また、屋内用の中でもタイプごとに相場が異なり、スタンドアローン型は10万~150万円、ネットワーク型は20万~250万円、タッチパネル型は45万~150万円が目安です。

STB費用

STB(セット・トップ・ボックス)とは、ディスプレイに動画や画像を映し出す映像表示機器です。導入費用の相場は1万~3万円ですが、タイプによっては10万円以上するものもあります。

CMS費用

CMSとは「コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、ディスプレイとインターネットに接続し、デジタルコンテンツを一元管理するソフトウェアのことです。導入費用は、1端末につき月額4,000~1万円が相場と言われています。

コンテンツ制作費用

コンテンツ制作費用は、使用するグラフィックや求めるクオリティによって変動しますが、静止画スライドショーの場合は2万~3万円、2分前後の動画の場合は10万円以上必要となるでしょう。ただ、メディアの垣根を越えて展開することが可能なので、テレビCMやWEBメディア用に制作したコンテンツを流用すれば、コストを抑えることができます。

 

 

工事費用

工事費用については、設置場所や業者によって異なるため見積もり次第となりますが、2万~15万円が主な価格帯と言われています。なお、移動可能なスタンド型であれば、工事費用は不要です。

運用費

ランニングコストとして、まずサーバー使用料が挙げられます。利用するサーバーによって異なりますが、月額5,000円以上見積もっておいたほうがよいでしょう。電気料金はディスプレイの大きさに比例しますが、50インチの場合、屋内用は月額1,000円以下、屋外用は月額2,000円以下とされています。また、定期的な保守点検にかかる費用は、月額3,000~5,000円前後ですが、場合によって追加料金が発生するケースがあります。

【出稿する場合】既存のデジタルサイネージへの広告料金例

都内主要スポットのデジタルサイネージ広告は、どのような料金形態となっているのでしょうか。実際の郵便局や駅、ビルボードへの出稿料金の一例をご紹介します。

郵便局広告

東京都の郵便局ではデジタルサイネージを活用した広告主を募集しています。1枠15秒×16枠分=計6分でローテーションされます。

 

場所 期間 サイズ 広告料金
都内44局 7日 42インチ 11万円(税抜)

(参考:JPコミュニケーションズ株式会社「郵便局広告のご案内」

駅内広告

JR東日本グループでは、トレインチャンネルをはじめとする車両デジタルサイネージのほか、駅構内におけるデジタルサイネージ広告枠を提供しています。放映時間は5時から深夜0時までとなっています。

 

場所 期間 サイズ 広告料金
JR新宿駅 東西自由通路 7日 70インチ・14面 40万円~(税抜)
JR池袋駅 中央改札内 7日 60インチ・16面 20万円~(税抜)
JR渋谷駅 ハチ公改札 7日 65インチ・8面 18万円~(税抜)

(参考:株式会社ジェイアール東日本企画「JEKIメディアガイド」

屋外広告:六本木ヒルズ・メトロハット外周

六本木のランドマークとも言える「六本木ヒルズ」の大型広告メディア「メトロハット」。300平方メートルを超えるサイズがあり、インパクトの高い広告効果を期待できます(指定代理店を通じて申し込む必要があります)。

 

場所 期間 サイズ 広告料金
六本木ヒルズ
メトロハット 外周
7日 最大H13.07m×W30.12m 500万円(税抜)

(参考:森ビル株式会社「六本木メディア」

より効果の高いデジタルサイネージ広告は動画活用がおすすめ

デジタルサイネージ広告の視認効果を高めるためには、静止画よりも動画コンテンツが有効です。クオリティの高い動画をスピーディーに制作するためには、専門知識とセンスを持ったクリエイターの活用をお勧めします。「Hive」のようなシステムサービスを通じて動画クリエイターを直接アサインすれば、ハイクオリティ・低コストな動画コンテンツ制作が可能です。

 

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デジタルサイネージ広告は、さらなる成長が見込まれている広告メディア。特に一般企業における成長率が著しく、広告の伸びがデジタルサイネージ市場を牽引するものと予測されています。さまざまな可能性を秘めたメディアを上手に活用し、販促やブランディング、企業の認知度向上につなげましょう。