Unreal Engineの制作会社5選。動画に活用するメリットや事例
2022 08.14
映像クリエイターや制作会社の間で、ゲームエンジン「Unreal Engine」の注目度が急上昇。映画やドラマ、3Dアニメーションといったエンターテインメント分野をはじめ、建築設計やプロダクトのビジュアライゼーションなど、産業・商業分野でも活用が進んでいます。今なぜ映像制作の現場でUnreal Engineのニーズが高まっているのか、その理由を検証してみましょう。
目次
- Unreal Engineとは
- Unreal EngineとUnityの違い
- 動画制作にUnreal Engineを活用するメリット
- 無料で動画を作成できる
- 制作の工数を削減できる
- 美しいグラフィックを作成できる
- Unreal Engineを取り扱う制作会社5選
- 株式会社No.0
- 株式会社ヒストリア
- 株式会社 Indie-us Games
- 株式会社理経
- 株式会社 TREE Digital Studio
- Unreal Engineの動画活用事例
- VR空間でのドライビングシミュレーション
- ライブ会場のビジュアライゼーション
- Unreal Engineを扱う制作会社は増加傾向に
Unreal Engineとは
Unreal Engineは、アメリカのEpic Games社によって開発されたゲームエンジンです。スクリプトを視覚的に追加できる「ブループリント」システムによって、複雑なプレイ要素の作成を簡易にしました。日本国内でもメジャーな3Dゲーム制作に採用されており、代表例としてPlayStation4やNintendo Switchが挙げられます。今やUnreal Engineは、3Dゲーム制作に欠かせないハイスペックツールといえます。
Unreal EngineとUnityの違い
Unreal Engineと双璧をなすゲームエンジンとして、Unityが挙げられます。UnityはアメリカのUnity Technologies社が開発したゲームエンジンで、Unreal Engine同様、3Dゲーム開発の手軽さが特徴です。
料金体系を比較すると、Unityの無料プランは使用できる機能や環境が限定されていますが、Unreal Engineは無料で利用可能です。ただし、ゲーム製品の総収入が100万米ドルを超えた場合、5%のロイヤリティを支払う必要があります。また機能面を見ると、Unityは2Dゲームに特化した機能が充実しているのに対し、Unreal Engineは3DゲームやVR制作に適したツールといわれています。
(参考:UNREAL ENGINE「ロイヤリティの支払いと記録」)
動画制作にUnreal Engineを活用するメリット
ゲームエンジンとして開発されたUnreal Engineが、動画制作の現場で採用されている理由として、下記のようなメリットが挙げられます。
無料で動画を作成できる
Epic Games社は、2015年、Unreal Engine 4(通称・UE4)をリリースするにあたり、無償化の方針を打ち出しました。ゲームの売上が規定額を超えた場合はロイヤリティが発生しますが、動画制作に用いる場合は完全ロイヤリティフリーです。2022年にUE5がリリースされましたが、その方針は変わりません。バージョンアップを重ねるごとに非ゲーム分野も目覚ましい発展を遂げ、映像制作向け機能は拡張を続けています。
また、公式マーケットプレイスでアセットのコレクションにアクセス可能。有料コンテンツだけでなく、無料コンテンツにも質の高い素材が豊富にそろっています。
そのため、フリーランスの動画クリエイターを中心に、コストカットとクオリティを両立できる動画制作ツールとして注目度が高まりました。
制作の工数を削減できる
従来の3Dソフトは、静止画をつなぎ合わせる「プリレンダリング」の工程に膨大な時間を費やしていましたが、Unreal Engineは「リアルタイムレンダリング」技術によって、工数の大幅削減を実現しました。特にUE5はフレームレートを維持したままリアルタイムレンダリングパフォーマンスを発揮できるため、高品質・ハイスピードな動画制作が可能です。
美しいグラフィックを作成できる
没入型のエクスペリエンスを追求したUnreal Engineは、ハイエンドなグラフィックスによって仮想世界をビルドできるツールです。さまざまなシステムを駆使し、テクスチャが複雑なディテールで構成されているような錯覚を生み出すことができます。Waterシステムを使った川や湖、ライトシャフトで描く朝陽など、どの映像も実写と見まごうほどフォトリアル。サウンド機能も充実しているため、臨場感あふれる映像世界を創出できます。
また、Unreal Engineを使えば制作者とクライアントの間で色彩や質感の確認作業がスムーズに行える点も、クオリティの担保につながります。
Unreal Engineを取り扱う制作会社5選
日本国内では、CG部分の制作にUnreal Engine 4を用いたドラマ版「デスノート」の放映を機にUnreal Engineが注目を集め、取り扱い会社が急増しました。代表的な制作会社をご紹介します。
株式会社No.0
動画の戦略設計から企画・制作、運用までワンストップソリューションを提供するプロフェッショナル集団です。動画の目的に応じて最適なチームをアサイン。【「あの動画、そのCM」 Hiveなら “半値” でつくれます。】をコンセプトに掲げています。
(参考:No.0公式サイト)
株式会社ヒストリア
2013年に設立した、Unreal Engine専門のゲームディベロッパーです。アーケードゲームやコンシューマーゲームの開発をはじめ、建築物のバーチャルリアリティ化やコンサルティングなどを手掛けています。
(参考:株式会社ヒストリア公式サイト)
株式会社 Indie-us Games
関西に拠点を置くUnreal Engine専門のディベロッパーです。ゲーム開発をはじめとし、映像やVR、建築コンテンツの制作、セミナー、コンサルティングなど、Unreal Engine関連の多様な事業を展開しています。
株式会社理経
自治体や官公庁、企業向けに、Unreal Engineを用いたCGコンテンツを提供しています。プロダクト開発やAI学習など幅広い事業を展開。Epic Games社の法人パートナーとして資金援助を受けている数少ないディベロッパーです。
(参考:株式会社理経公式サイト)
株式会社 TREE Digital Studio
4社の統合によって2021年に設立し、ARやVRをはじめ、インタラクティブコンテンツの開発を手掛ける総合コンテンツプロダクションです。Unreal Engineを用いたコンテンツが「JPPA AWARDS 2022」で映像技術部門グランプリを受賞するなど、飛躍を遂げています。
(参考:株式会社 TREE Digital Studio公式サイト)
Unreal Engineの動画活用事例
Unreal Engineを用いた動画コンテンツがいかにフォトリアルか、体感してみてください。
VR空間でのドライビングシミュレーション
Unreal Engine4を用い、VR空間にさまざまな天候・時間帯の首都高速道路を再現。これまで実際の路面で行っていた走行テストを社内にシフトし、自動運転技術の開発を促進する試みです。
ライブ会場のビジュアライゼーション
大規模なアリーナ建設プロジェクトの一環として、Unreal Engineを用い、会場のデジタルレプリカが制作されました。アリーナの規模やエネルギー、現代的なデザインを表現し、関係者のエンゲージメント向上につなげています。
Unreal Engineを扱う制作会社は増加傾向に
「CG技術はカスタマーとのインタラクション拡張に有用」と考える企業が増加するに従い、Unreal Engineのユーザー数は急増しています。2022年1月時点のダウンロード数は2020年の終わりと比較し、約40%増加。Unreal Engineを扱う制作会社も増加傾向にあり、マーケティングや販促などあらゆるシーンで活用が進んでいます。Unreal Engineは次世代のメタバース構築に、大きなうねりをもたらすツールといえそうです。