Unreal Engineは建築業界も注目。建築業界への活用方法や活用のメリット
2022 05.25
3Dゲーム制作に必要な機能を統合したゲームエンジン「Unreal Engine」は、ゲーム業界だけでなく建築業界にも大きなイノベーションをもたらしました。高度な編集システムとグラフィック性能によって、頭に描く建築イメージを仮想空間に描き出すことができます。企画からデザイン、施工まで、理想的なワークフローを構築できるUnreal Engineは、建築界を変革するディスラプターといっても過言ではありません。
目次
- Unreal Engineとは
- 建築業界がUnreal Engineに注目する理由
- Unreal Engineを建築に活用するメリット
- 作業効率の向上
- コストの削減
- 他コンテンツへのスムーズなアウトプット
- 建築分野におけるUnreal EngineとUnityの違い
- Unreal Engineの建築業界での活用シーン
- 建築設計・建築パース
- 建築VR
- 360°動画
- 建築業界におけるUnreal Engineの活用事例
- 建築パースの事例
- 建築VRの事例
- 360°動画の事例
- 建築分野におけるUnreal Engineのチュートリアルも豊富
- 建築業界でもUnreal Engineを活用し、業務効率化を叶えよう
- Unreal Engineは「hive(ハイヴ)」
Unreal Engineとは
Unreal Engineとは、アメリカ企業が開発したゲームエンジンです。ブループリントという機能によって、プログラミングの知識がなくても、視覚的な操作でバーチャル世界を構築できます。3D制作プラットフォームとして注目を集め、ゲームの枠を超えて幅広い分野で活用されている次世代ツールです。
建築業界がUnreal Engineに注目する理由
Unreal Engineでアセット開発することによって、建築コンセプトを3D空間上で具現化できるだけでなく、レンダリングなどの時間を短縮し、リアルタイムなワークフローを実現できます。フィードバックの即時対応や柔軟なブラッシュアップによって、競争力の強化を実現できるでしょう。
Unreal Engineを建築に活用するメリット
Unreal Engineは建築プロセスの合理化を図る上で、強力なツールとなりえます。その理由を具体的に検証してみましょう。
作業効率の向上
Unreal Engineを活用することで、企画からデザイン、施工までのフローを効率的に進めることができます。効率化をバックアップするシステムとして、「リアルタイムレンダリング」が挙げられます。従来のプリレンダリングと異なり、デジタルデータの演算と表示を即時実行できるシステムです。都度アウトプットしなくても常に最終の状態を確認しながら修正できるため、作業効率が飛躍的に向上しました。
また、マルチユーザー編集システムによって、複数のユーザーが共同作業できるオープン環境が提供されており、プロジェクトをスムーズに進めることができます。
コストの削減
Unreal Engineは2015年にリリースされたバージョン4以降、無償提供されています。開発したゲームの粗収入が年間100万ドルを超える場合、5%のロイヤリティが発生しますが、建築分野での利用にロイヤリティは設定されていません。あらゆる機能を無償で利用できるため、初期投資・ランニングコストのいずれにおいてもコスト削減を実現できます。
他コンテンツへのスムーズなアウトプット
Unreal StudioやTwinmotionなどのソフトを用いれば、BIM/CIM設計ソフトからVR/ARコンテンツへのスムーズなアウトプットが可能です。3D映像によるリアルな建築モデルを共有することで、設計者と工事関係者、クライアント三者の理解を深めることができるでしょう。
また、Unreal Engineで作成したデータをBIM/CIMに出力すれば、編集可能な3Dツールとしてそのまま設計に回すことができます。Unreal Engineはデジタルモックアップのニーズに応える、強力なツールといえるでしょう。
建築分野におけるUnreal EngineとUnityの違い
Unreal Engineに対抗するゲームエンジンとして「Unity」が挙げられます。BIMデータを3Dに変換する「UnityReflect」や、BIMモデルを現場で活用できる「VisualLive」機能を提供しているため、Unreal Engine同様、建築分野で活用されています。
Unreal EngineにおけるUnityとの違いは、主に操作性にあります。Unreal Engineに搭載されているブループリントは、プログラミングのコードを書かなくてもスクリプトを作成できる機能です。デザイナーがプログラマーの領域に立ち入って、思うままに表現できる環境を提供しています。
Unreal Engineの建築業界での活用シーン
Unreal Engineは、設計やウォークスルー、シミュレーション、ブラッシュアップなど、建築業界におけるあらゆるシーンで活用が進んでいます。パースやVR動画、360°動画など、シーンに適した表現スタイルを選択できます。
建築設計・建築パース
以前は平面的なパースから完成形をイメージする能力が求められましたが、Unreal Engineを活用することで、現実感を伴う立体的な建築モデルを描出できます。しかも、専門スキルが必要な旧来のソフトと異なり、Unreal Engineであれば比較的容易に建築モデルの3D化が可能。立体化することで設計上の問題点が明確化し、ブラッシュアップを重ねることができます。
建築VR
Unreal Studioを用いれば、BIMデータを基にVRコンテンツを制作できます。建築前にVR内覧を行いフィードバックを求めることで、齟齬によるトラブルを避けられるでしょう。高いグラフィック性能を備えたUnreal Engineであれば、時間帯ごとの調光まで表現できるため、設計時と建築後のイメージに落差が生じにくいというメリットがあります。
360°動画
ユーザー自身が視点を変えながら建築物を内覧できる360°動画コンテンツも、比較的容易に制作できます。VR・360°動画コンテンツは、YouTubeなどの動画プラットフォームにアップできるため、遠距離のユーザーにもプレゼン可能です。商用建築物であれば、宿泊やイベントといった実際の利用風景をCGで追加することにより、完成イメージをよりリアルに表現できるでしょう。
建築業界におけるUnreal Engineの活用事例
Unreal Engineを巧みに活用した事例の数々は、建築ビジュアライゼーションの豊かな可能性を示しています。
建築パースの事例
総合サポート企業「スペースラボ株式会社」が公開しているパース集です。CG建築パース制作に力を入れており、作業効率化のためにUnreal Engineを活用しています。
建築VRの事例
ネット上で、ガイド音声付きのVRモデルルームのツアーを開催。ファイアプレイスの炎や日照、窓外の風景、インテリア素材などのシミュレーションによって、「住み心地」までイメージできる仕上がりになっています。
360°動画の事例
ユーザーが視点を変えながら、気になるポイントを中心に閲覧できるインタラクティブなコンテンツです。Unreal Engineを活用することで、ビルドデータを再利用し、このような映像コンテンツや静止画へ容易に転用できます。
建築分野におけるUnreal Engineのチュートリアルも豊富
世界No.1のシェアを誇るUnityと比べ、チュートリアルが少ないといわれてきたUnreal Engineですが、国内ユーザー数の増加に比例して、チュートリアルの充実度も高まっています。ネット上にも建築設計デザイナー向けのチュートリアルや資料がアップされているので、スキルに応じた情報収集が叶います。
建築業界でもUnreal Engineを活用し、業務効率化を叶えよう
建築業界では、プロジェクトを多角的に可視化するヴィジュアライゼーションが急速に発展しています。3Dパースや建築VR/MRを制作するプロジェクトはますます増えていくことでしょう。Unreal Engineは、建築業界のデジタルトランスメーションを推進し、ニューノーマル時代を切り拓く強力なプラットフォームとなり得ます。ぜひ活用して、業務効率化を実現してください。
Unreal Engineは「hive(ハイヴ)」
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